裁判所法第七條第二號によれば最高裁判所は特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告(日本國憲法施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に關する法律第一八條)についてのみ裁判權を有するものである(昭和二二年(つ)七號、二二年一二月八日決定)
保釋請求却下決定に對し最高裁判所に抗告を申立てることの適否
裁判所法7條2號,刑訴應急措置法18條
判旨
最高裁判所は、裁判所法7条2号および応急的措置法18条に基づき、特に最高裁判所の権限に属すると定められた特定の抗告についてのみ裁判権を有する。
問題の所在(論点)
高等裁判所が下した保釈不許可決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てることが認められるか。換言すれば、当該抗告が最高裁判所の裁判権に属する「特に定められた抗告」に該当するか。
規範
最高裁判所に対する抗告は、法律により特に最高裁判所の権限に属するものと定められた場合に限り認められる(裁判所法7条2号、日本国憲法施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律18条)。これに該当しない事項を不服とする抗告は、裁判権の範囲外であり不適法として棄却される。
重要事実
強盗被告事件において、被告人側が東京高等裁判所に対し保釈を申請したが、不許可決定を受けた。被告人側は、原決定が住所・職業等の事実を誤認していること、身元引受人が存在し逃亡等の恐れがないこと、および健康状態が悪化していること等を理由に、最高裁判所に対して不服を申し立てた。
事件番号: 昭和23(つ)14 / 裁判年月日: 昭和23年9月22日 / 結論: 棄却
最高裁判所に對しては、刑訴應急措置法第一八條のように特に最高裁判所に抗告を申立てることを許された場合の外抗告をすることは許されないものであることは既に當裁判所の判例とするところである(昭和二二年(つ)第七號、同年一二月八日決定)。
あてはめ
本件抗告の内容は、保釈不許可という事実認定や裁量の適否を争うものである。しかし、当時の裁判所法および応急的措置法等の規定を照合しても、高等裁判所の保釈に関する決定に対して直接最高裁判所へ抗告できるという特別の定めは存在しない。したがって、本件抗告は最高裁判所が審理できる権限の範囲外にあるといえる。
結論
本件抗告は、最高裁判所の権限に属する抗告に当たらないため、不適法として棄却される。
実務上の射程
最高裁判所の終審裁判所としての管轄権の限定性を示す事例。刑事訴訟において、下級審の裁量的判断(保釈等)に対し、法律上の特段の根拠なく最高裁判所へ直接不服を申し立てることはできないという原則を明示したものである。
事件番号: 昭和23(つ)10 / 裁判年月日: 昭和23年7月23日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「起訴法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
事件番号: 昭和28(し)91 / 裁判年月日: 昭和28年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がした保釈却下の決定は、刑事訴訟法428条2項3号により異議の申立てが可能であるため、同法433条1項の「不服を申し立てることができない決定」に該当せず、最高裁判所への特別抗告は許されない。 第1 事案の概要:高等裁判所が保釈却下の決定(昭和28年10月3日付)を行ったのに対し、不服申立…
事件番号: 昭和29(す)390 / 裁判年月日: 昭和29年10月1日 / 結論: 棄却
保釈の請求を却下する決定で高等裁判所がしたものに対しては、刑訴四二八条二項により、その高等裁判所に異議の申立をすることができるのである。従つて、原決定は同四三三条にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらないから、これに対し同条所定の特別抗告を申し立てることはできない。
事件番号: 昭和44(し)23 / 裁判年月日: 昭和44年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のした保釈請求却下決定に対しては、刑事訴訟法428条2項に基づき異議の申立てをすべきであり、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは同法433条1項の要件を欠き不適法である。 第1 事案の概要:窃盗被告事件に関し、東京高等裁判所が保釈請求却下決定を下した。これに対し、申立人は異議の申立…