判旨
高等裁判所がした保釈却下の決定は、刑事訴訟法428条2項3号により異議の申立てが可能であるため、同法433条1項の「不服を申し立てることができない決定」に該当せず、最高裁判所への特別抗告は許されない。
問題の所在(論点)
高等裁判所が行った保釈却下決定に対し、刑事訴訟法433条1項に基づき最高裁判所へ特別抗告を申し立てることの可否(同条にいう「不服を申し立てることができない決定」に該当するか否か)。
規範
最高裁判所に対する抗告は、刑事訴訟法433条のように訴訟法において特に最高裁判所に抗告をなし得る旨を定めた場合に限り許される(裁判所法7条2号)。刑事訴訟法433条1項の「不服を申し立てることができない決定」とは、通常抗告(420条)や異議の申立て(428条)等、他の不服申立手段が一切認められていない決定を指す。
重要事実
高等裁判所が保釈却下の決定(昭和28年10月3日付)を行ったのに対し、不服申立人が当該決定そのものを不服として、最高裁判所に対し直接に特別抗告を申し立てた。なお、記録上、不服申立人は別途異議の申立ても行っていたことが認められる。
あてはめ
刑事訴訟法428条2項3号によれば、高等裁判所のした保釈に関する決定に対しては、当該高等裁判所に異議の申立てをすることができると規定されている。したがって、高等裁判所の保釈却下決定は、法文上、他の不服申立手段が用意されているものであり、同法433条1項が特別抗告の対象とする「不服を申し立てることができない決定」には当たらない。また、他に本件のような決定に対し最高裁判所への抗告を認める特則も存在しない。
結論
本件抗告は、不服申立方法を誤った不適法なものとして棄却されるべきである。
実務上の射程
事件番号: 昭和29(す)390 / 裁判年月日: 昭和29年10月1日 / 結論: 棄却
保釈の請求を却下する決定で高等裁判所がしたものに対しては、刑訴四二八条二項により、その高等裁判所に異議の申立をすることができるのである。従つて、原決定は同四三三条にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらないから、これに対し同条所定の特別抗告を申し立てることはできない。
高裁の決定に対する不服申立構造を整理する基礎判例である。高裁が第一審として、あるいは控訴審として判断した保釈決定等については、まず428条に基づく異議申立てを経る必要があり、それを飛び越えての特別抗告は許容されない。答案上は、特別抗告の要件である「不服申立不能」の有無を判断する際の基準として用いる。
事件番号: 昭和29(し)26 / 裁判年月日: 昭和29年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がした保釈却下の決定は、刑訴法428条に基づき異議の申立てが可能であるため、同法433条1項の「不服を申し立てることができない決定」には当たらず、直接の特別抗告は不適法である。 第1 事案の概要:被告人(抗告人)に対し、高等裁判所が保釈却下の決定を行った。これに対し、被告人が直接、最高裁…
事件番号: 昭和44(し)23 / 裁判年月日: 昭和44年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のした保釈請求却下決定に対しては、刑事訴訟法428条2項に基づき異議の申立てをすべきであり、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは同法433条1項の要件を欠き不適法である。 第1 事案の概要:窃盗被告事件に関し、東京高等裁判所が保釈請求却下決定を下した。これに対し、申立人は異議の申立…
事件番号: 昭和23(つ)9 / 裁判年月日: 昭和23年9月30日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條第二號によれば最高裁判所は特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告(日本國憲法施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に關する法律第一八條)についてのみ裁判權を有するものである(昭和二二年(つ)七號、二二年一二月八日決定)
事件番号: 昭和46(し)38 / 裁判年月日: 昭和46年6月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審たる高等裁判所がした保釈却下決定に対し、刑訴法433条の特別抗告を直接申し立てることは許されず、同法428条に基づき当該高等裁判所に異議の申立てをすべきである。 第1 事案の概要:1. 控訴審たる高等裁判所が保釈却下決定を行った。 2. これに対し、申立人は高等裁判所への異議申立てを行わず、…