刑訴應急措置法第一二條の趣旨は、被告人の請求あることを前提とするに過ぎないものであつて、必ずしも常に裁判所が積極的に被告人に對して同條所定の書類の供述者又は作成者を證人として訊問することを得る旨を告げることを義務として要請するものと解すべき理由は存しない。そして、その趣旨は、既に當裁判所大法廷における判例(昭和二二年(れ)第二七一號同二三年六月三〇日言渡大法廷判決參照)
刑訴應急措置法第一二條の法意と裁判所の告知義務
刑訴應急措置法12條
判旨
裁判所は、刑訴応急措置法12条(現行刑訴法321条等に関連)に基づき、被告人に対して証人尋問権を行使できる旨を積極的に告知する義務を負わない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟手続において、裁判所が被告人に対し、書面の作成者等を証人として尋問する権利があることを能動的に教示する義務を負うか。
規範
刑訴応急措置法12条(伝聞例外に関する規定)の趣旨は、被告人の請求があることを前提とするものである。したがって、裁判所が被告人に対し、書面の供述者等を証人として尋問できる旨を積極的に告知すべき義務を課すものとは解されない。
重要事実
被告人の弁護人は、裁判所が被告人に対して、証拠とされた書類の供述者または作成者を証人として尋問することができる旨を告知しなかったことが違法であるとして再上告した。
あてはめ
本条の規定は、被告人からの「請求」を起点として証人尋問の機会を保障するにとどまる。裁判所が積極的な告知義務を負うと解すべき法的根拠は存在せず、告知を欠いたとしても手続上の違法は認められない。
結論
裁判所に告知義務はないため、本件再上告は棄却される。
実務上の射程
憲法37条2項の証人喚問権や伝聞例外(刑訴法321条等)の適用局面において、当事者主義的運用の範囲を画定する際、裁判所の教示義務を否定する根拠として引用される。被告人の権利行使はあくまで自己の責任と請求に基づくという原則を示す。
事件番号: 昭和26(れ)727 / 裁判年月日: 昭和26年9月18日 / 結論: 棄却
被告人は原審公判で第一審の判決摘示の犯罪事実(原判決と同様に常習賭博の事実を認定している)を読み聞けられたのに対し、「その通り相違ありません」と答えているのである。従つて、被告人の全供述を通読すると、最後に被告人が述べた「罰金刑をお願い致します」という供述は、懲役刑より軽い罰金刑の方を願う常人の単純な希望を述べたに過ぎ…