一 所論のように原審が不利益な證據のみを採用したとか、情状に關する利益な證據を一切排斥したかということは、結局事實裁判所である原審の自由な裁量權に屬することである。かかる非難は上告の適法な理由として採用することはできない。 二 刑の執行猶豫を言渡すことは、他に十分な上告理由があつて原判決を破毀する場合の外は、當上告裁判所ではなし得ないところである。
一 證據の取捨選擇と上告理由 二 上告裁判所が刑の執行猶豫を言渡すことができる場合
刑訴法337條,刑訴法447條,刑訴法448條,刑法25條
判旨
証拠の採否及び刑の執行猶予の可否は事実審の自由な裁量に属する事柄であり、上告審が介入できる事項ではない。
問題の所在(論点)
事実審における証拠の選択・評価の当否、および執行猶予の不付与が、適法な上告理由となるか。
規範
1. 証拠の採否(不利益な証拠の採用や利益な証拠の排斥)は、事実裁判所の自由な裁量権に属する。2. 刑の執行猶予を言い渡すか否かは、事実審たる原裁判所の自由裁量に一任されており、他に原判決を破棄すべき十分な理由がない限り、上告裁判所が判断することはできない。
重要事実
被告人A、B、Cが共同被告人として裁判を受け、原審において一部の弁護人が辞任したものの、別の共通の弁護人が立ち会い弁護を行って結審した。被告人らは、原審が不利益な証拠のみを採用し、情状に関する利益な証拠を排斥したこと、及び執行猶予が付されなかったことを不服として上告した。
あてはめ
被告人らは、原審が不利益な証拠のみを採用し、利益な証拠を排斥したと主張するが、これらは事実裁判所の自由な裁量に属する事項である。また、刑の執行猶予の付与についても、他に原判決を破棄すべき事由が認められない本件においては、事実審の広範な裁量に委ねられるべき事柄であるといえる。
結論
証拠の採否や執行猶予の成否に関する不服は、事実審の裁量権の範囲内であり、適法な上告理由には当たらない。
実務上の射程
事実認定の基礎となる証拠の取捨選択や、量刑(特に執行猶予の有無)に関する事実審の広範な裁量を認めたものである。答案上は、量刑不当や事実誤認を直接の理由とする上告の制限を論じる際の根拠として機能する。
事件番号: 昭和25(れ)1737 / 裁判年月日: 昭和26年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠の採否及び事実の認定は原審の自由裁量に属する事項であり、これに対する不服は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決の事実認定に不服を申し立て、弁護人が証拠の採否や事実誤認を主張して上告を提起した事案。 第2 問題の所在(論点):原審における証拠の採否および事実認定の妥当性…