原判決が第一事實として判示した窃盗の事實については檢察官から適式の書面による公訴が提起されたことは記録上認められないことは所論のとおりであるが、原審は、右窃盗の事實は原判示第二事實の強盗未遂の事實と連續犯の關係あるものとして、言いかえれば適式に公訴の提起された強盗未遂罪と一罪の關係あるものとして審判したのであるから、原判決には所論のような(公訴の提起なき事實について判決したという)違法はない。
連續犯の一部につき公訴の提起なくして審判した判決の當否
刑法235條,刑法236條,刑法55條
判旨
適式な公訴提起がない事実であっても、それが公訴提起された他の事実と一罪の関係(旧法下の連続犯等)にある場合には、裁判所はこれらを含めて一体として審判の対象とすることができる。
問題の所在(論点)
検察官により適式な公訴提起がなされていない犯罪事実について、公訴提起された他の犯罪事実と実体法上一罪の関係にある場合に、裁判所がこれを審判の対象とできるか。
規範
公訴提起の効力は、検察官が指定した公訴事実と単一かつ同一の関係にある事実の全部に及ぶ。そのため、公訴提起された犯罪事実と実体法上一罪(当時の連続犯を含む)の関係にある事実にについては、別途適式な書面による公訴提起がなくても、審判の対象に含まれる。
重要事実
被告人は、窃盗の事実(第一事実)および強盗未遂の事実(第二事実)に及んだとして有罪判決を受けた。しかし、記録上、第一事実である窃盗については検察官から適式な書面による公訴提起がなされていなかった。弁護人は、公訴提起のない事実を認定した原判決には違法があると主張して上告した。
あてはめ
本件における第一事実(窃盗)は、第二事実(強盗未遂)と連続犯の関係(旧刑法下の概念であり、現在の一罪または科刑上一罪に相当する概念)にある。このように、適式に公訴提起された事実と実体法上一罪の関係にある事実については、公訴の効力が不可分に及ぶため、書面による個別の公訴提起を欠いていても審判の対象とすることが許容される。
結論
原判決に公訴提起のない事実を認定した違法はない。適式に公訴提起された犯罪事実と一罪の関係にある事実は、審判の対象に含まれる。
実務上の射程
公訴事実の同一性(刑事訴訟法248条、312条等)の基礎となる「公訴不可分の原則」を確認する判例。答案上は、起訴されていない余罪が公訴事実と「単一かつ同一」である場合に、裁判所がどこまで判決で言及・認定できるかという文脈で活用できる(ただし、現在は訴因変更手続きの要否が主たる論点となる点に留意)。
事件番号: 昭和24(れ)28 / 裁判年月日: 昭和24年5月31日 / 結論: 棄却
論旨は、原審は本件の併合罪につき法定の加重をするに當り、窃盜罪と強盜未遂罪との刑の輕重の比較において窃盜罪を重しとしてその刑に法定の加重をしているが、それは違法であるというのである。しかし、同時に刑を加重減輕すべきときには、併合罪の加重は、先だつて法律上の減輕をしなければならないことは、刑法第七二條の規定するところであ…
事件番号: 昭和28(れ)35 / 裁判年月日: 昭和28年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴状において罪名の表示を欠いていたとしても、公訴事実が特定されている以上、当然に起訴が無効となるわけではない。また、起訴された犯罪と牽連犯の関係にある犯罪については、明示的な起訴がなくとも当然に裁判所の審判範囲に含まれる。 第1 事案の概要:被告人Aらは、住居侵入および強盗の犯行を行ったとして有…