官選辯護人を選任せらるるのは第一回公判期日前適當の時期即ち辯護人準備の出來得る時期であることは出來る限り望むべき事ではあるが實際問題としては第一回公判期日の前日或はその當日私選辯護人が選任せらるることは屡々ある實例であり又法律問題としては公判當日の選任はいけないと言う論據や理由は別段にないのである。而して記録に依れば本件事案の内容は比較的簡單であり且つこの第一回公判期日に被告人からも又辯護人からも敢て公判延期の申出等なく異議なく辯論が行われた次第であつて從つて以上は何れの點から論じても不服の理由とすることは出來ないのである。
第一回公判期日の當日なされた官選辯護人選任の適否
刑訴法334條
判旨
強盗罪の成否における「暴行・脅迫」の程度は、社会通念上、一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものであるかを基準に判断すべきであり、その手段方法が客観的にこの程度に達していれば、特定の被害者が畏怖せず反抗を抑圧されなかったとしても強盗罪が成立する。
問題の所在(論点)
強盗罪における「反抗を抑圧するに足りる程度の脅迫」の有無について、被害者が現実には畏怖せず、反抗を抑圧されていなかった場合でも、客観的な手段方法が基準を満たせば強盗罪が成立するか。
規範
刑法236条の強盗罪における「暴行又は脅迫」とは、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものをいう。その判断は、行為者の主観や特定の被害者の主観的な畏怖の有無を基準とするのではなく、客観的な事態に基づき、社会通念上、一般に被害者の反抗を抑圧するに足りるものであるかという観点から決せられるべきである。
重要事実
被告人は、第三者(氏名不詳の男2名)から拳銃等で脅迫され、止むを得ず病院への侵入・強盗を指示された。被告人は顔を覆い、病院に侵入して看護婦や院長に対し「金をくれ」等と要求し、金員を喝取した。弁護人は、被害者(院長)が被告人の震えている様子を見て「腕力で負けない」と思い、落ち着いて対応していたこと、すなわち反抗が抑圧されていなかったことを理由に、強盗罪ではなく恐喝罪にとどまると主張した。
あてはめ
本件において、被告人は夜間に病院へ侵入し、顔を隠した状態で金品を要求している。また、背後には拳銃等を所持した共犯者が控えて監視しており、その威圧的な状況は客観的にみれば被害者の自由な意志を奪い、反抗を不可能または著しく困難にする性質を有している。被害者が内心で「負けない」と考えたり、落ち着いて対応したりしていたとしても、それは被害者の個人的な主観や事情に過ぎず、客観的に提供された脅迫の強度は「反抗を抑圧するに足りる程度」に達していると評価される。
結論
被告人の行為は強盗罪の構成要件である「反抗を抑圧するに足りる程度の脅迫」に該当する。したがって、強盗罪の成立を認めた原判決に擬律錯誤の違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
強盗罪と恐喝罪の区別(反抗抑圧の程度)に関する最重要判例の一つである。答案では、被害者の個別事情(勇猛さや冷静さ)に左右されず、犯行時刻、場所、凶器の有無、態様などの客観的状況から「一般的に反抗を抑圧すべきものか」を検討する枠組みとして活用する。
事件番号: 昭和23(れ)1879 / 裁判年月日: 昭和24年5月7日 / 結論: 棄却
しかし犯人によつてなされた暴行又は脅迫が社會通念上相手方の反抗を抑壓する程度のものであつて、右暴行又は脅迫と財物の奪取との間に因果關係がある以上は、被害者自身は單に畏怖されたに止つたとしても又被害者自ら財物を交付したとしても強盜罪が成立するものであつて、恐喝罪とはならないことは當裁判所の判例とするところである(昭和二三…
事件番号: 昭和23(れ)795 / 裁判年月日: 昭和23年11月18日 / 結論: 棄却
一 少年法第七一條第一項の趣旨は、裁判所が審理した結果被告人等に對して所論のごとく保護處分をなすのを相當と認めた場合には少年審判所に事件を送致しなければならぬのであるが、被告人等に對して保護處分をするのが相當であるか否かは、事實審たる原裁判所が諸般の具體的事情を考慮して定むべきものであつてその裁量權にのみ屬するところで…