強盜の手段たる暴行又は脅迫は、普通人の犯抗を抑壓する程度のものでよいことは當裁判所の判例とするところである。
強盜罪における暴行脅迫の程度
刑法236條
判旨
強盗罪の手段たる暴行・脅迫は、普通人の反抗を抑圧する程度のものであれば足り、被害者が「どうにもならず相手方のするように任せるほかなかった」と認めるに足りる事実があれば、反抗抑圧の程度に至っていると解される。
問題の所在(論点)
強盗罪(刑法236条1項)における「暴行又は脅迫」の程度の判断基準、および被害者の主観的な畏怖状態が反抗抑圧の認定にどう影響するか。
規範
刑法236条1項にいう強盗の手段としての暴行又は脅迫は、一般的に見て、普通人の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることを要する。
重要事実
被告人は、共犯者と共謀の上、夜間(午後9時40分頃)に被害者宅に侵入した。所持していた海軍ナイフを被害者及びその家族らに突きつけ、「騒ぐな、金を出せ」と脅迫した。これに対し、被害者は畏怖し、「どうにもならず相手方のするように委しているより仕方がなかった」と感じる状態に陥り、金品を奪われた。
あてはめ
事件番号: 昭和23(れ)795 / 裁判年月日: 昭和23年11月18日 / 結論: 棄却
一 少年法第七一條第一項の趣旨は、裁判所が審理した結果被告人等に對して所論のごとく保護處分をなすのを相當と認めた場合には少年審判所に事件を送致しなければならぬのであるが、被告人等に對して保護處分をするのが相當であるか否かは、事實審たる原裁判所が諸般の具體的事情を考慮して定むべきものであつてその裁量權にのみ屬するところで…
夜間にナイフという凶器を突きつけて脅迫する行為は、客観的に見て普通人の反抗を抑圧するに足りる強い態様といえる。また、被害者が「相手のなすがままに任せるしかなかった」と供述している事実は、当該脅迫によって心理的に反抗が不可能な状態に追い込まれたことを示すものである。したがって、判決文に明示がなくとも、その畏怖の程度は反抗を抑圧されるに足りるものであったと認められる。
結論
被告人の行為は、客観的に反抗を抑圧する程度の脅迫にあたり、強盗罪が成立する。
実務上の射程
強盗罪と恐喝罪の区別(反抗抑圧の有無)において、凶器の使用や時間的・場所的状況といった客観的事実だけでなく、被害者が無抵抗を余儀なくされたという主観的心理状態を間接事実として活用する際の論拠となる。
事件番号: 昭和23(れ)322 / 裁判年月日: 昭和23年7月3日 / 結論: 棄却
官選辯護人を選任せらるるのは第一回公判期日前適當の時期即ち辯護人準備の出來得る時期であることは出來る限り望むべき事ではあるが實際問題としては第一回公判期日の前日或はその當日私選辯護人が選任せらるることは屡々ある實例であり又法律問題としては公判當日の選任はいけないと言う論據や理由は別段にないのである。而して記録に依れば本…
事件番号: 昭和23(れ)913 / 裁判年月日: 昭和23年12月16日 / 結論: 棄却
被告人等を少年法による保護處分その他實刑を科せざる處分を受けしめるのが相當であるか否か等はすべて事實審たる原裁判所の裁量權にのみ屬するところである。
事件番号: 昭和23(れ)1879 / 裁判年月日: 昭和24年5月7日 / 結論: 棄却
しかし犯人によつてなされた暴行又は脅迫が社會通念上相手方の反抗を抑壓する程度のものであつて、右暴行又は脅迫と財物の奪取との間に因果關係がある以上は、被害者自身は單に畏怖されたに止つたとしても又被害者自ら財物を交付したとしても強盜罪が成立するものであつて、恐喝罪とはならないことは當裁判所の判例とするところである(昭和二三…