被告人等を少年法による保護處分その他實刑を科せざる處分を受けしめるのが相當であるか否か等はすべて事實審たる原裁判所の裁量權にのみ屬するところである。
少年法による保護處分と事實審裁判所の裁量權
少年法71條
判旨
強盗罪(刑法236条1項)における脅迫は、社会通念上被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることを要する。深夜、覆面をした上で日本刀等を示して金銭を要求する行為は、被害者の反抗を抑圧するに足りる脅迫に該当し、それにより金銭を交付させた場合は強盗罪が成立する。
問題の所在(論点)
刑法236条1項にいう「脅迫」として、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の不法な勢力の提示があったといえるか。また、その脅迫によって被害者が反抗を抑圧され、金銭を交付するに至ったか。
規範
強盗罪の構成要件である「脅迫」は、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることを要する。その判断にあたっては、犯行の時間、場所、手段等の客観的状況を総合的に照らし、社会通念上被害者の反抗を抑圧するに足りるものといえるか否かという観点から決定される。
重要事実
被告人両名は金銭強奪を共謀し、昭和22年7月28日午前0時30分頃および同月29日午後11時30分頃、ワイシャツで覆面をした上で、抜き身の日本刀および鞘入りの竹光をそれぞれ携帯して被害者ら宅に侵入した。被告人らは、就寝中の家人に対し、日本刀を示しながら「起きろ、金を出せ」と言って脅迫し、現金を取り上げた。
事件番号: 昭和23(れ)795 / 裁判年月日: 昭和23年11月18日 / 結論: 棄却
一 少年法第七一條第一項の趣旨は、裁判所が審理した結果被告人等に對して所論のごとく保護處分をなすのを相當と認めた場合には少年審判所に事件を送致しなければならぬのであるが、被告人等に對して保護處分をするのが相當であるか否かは、事實審たる原裁判所が諸般の具體的事情を考慮して定むべきものであつてその裁量權にのみ屬するところで…
あてはめ
本件では、深夜という被害者が助けを求めにくい時間帯に、覆面をした2人の侵入者が凶器である日本刀(およびそれに見える竹光)を突きつけて金銭を要求している。このような犯行の時間、場所、手段という客観的事態に照らせば、社会通念上、被害者の反抗を抑圧するに足りる脅迫があったといえる。そして、この脅迫により被害者が反抗を抑圧され、金銭を交付せざるを得ない状態に陥ったものと解される。
結論
被告人らの行為は、社会通念上被害者の反抗を抑圧するに足りる脅迫にあたり、それによって現金を強取したものであるから、強盗罪が成立する。
実務上の射程
強盗罪における「反抗を抑圧するに足りる」という程度を判断する際の、犯行時間・場所・手段(凶器)といった客観的状況重視の判断枠組みを示す典型例である。答案上は、具体的状況を摘示した上で「社会通念上反抗を抑圧するに足りるか」を評価する際の規範として活用できる。
事件番号: 昭和23(れ)859 / 裁判年月日: 昭和23年12月11日 / 結論: 棄却
強盜の手段たる暴行又は脅迫は、普通人の犯抗を抑壓する程度のものでよいことは當裁判所の判例とするところである。
事件番号: 昭和22(れ)41 / 裁判年月日: 昭和22年11月24日 / 結論: 棄却
一 深夜數人兇器を携えて屋内に侵入して判示のような脅迫行爲をしたときは、通常被害者において反抗を抑壓せられる程度の畏怖を感ずることは明瞭であるから、原判決がその行爲を(恐喝ではなく)強盜と認定して之に對し強盜の法條を適用したのは正當であつて何等の違法はない。 二 所論の被害物件が隠退蔵物資なりやは被告人の本件犯行(強盜…