原判決の引用する證據によれば、被告人等五名は原判示のように強盜を共謀して夜半A方に侵入し同人外四名の家人に對し短刀その他拳銃のように見せかけた兇器様のもの等を突きつけて「靜かにしろ」「靜かにしないと撃つぞ」「騒ぐと殺すぞ」等と申向けて脅迫した事實が認め得られるので、かかる脅迫は相手方の反抗を不可能にすべき性質のものであること言うまでもないのであるから、原審が右の脅迫による財物の強取を強盜罪と認めて刑法第二三六條を適用したことは正當であつて原判決には所論のように審理不盡に基く擬律錯誤の違法はない。
強盜罪における脅迫
刑法236條
判旨
強盗罪(刑法236条)における「脅迫」とは、相手方の反抗を抑圧(不可能)にするに足りる程度のものであることを要し、その判断は客観的に行われるべきである。
問題の所在(論点)
刑法236条の強盗罪における「脅迫」の程度として、どの程度の態様が必要とされるか。
規範
強盗罪の構成要件である「脅迫」は、社会通念上、相手方の反抗を抑圧(不可にする)すべき性質のものであることを要する。
重要事実
被告人ら5名は、強盗を共謀して深夜に被害者方に侵入した。その際、被害者ら5名に対し、短刀や拳銃に見せかけた凶器様のものを突きつけ、「静かにしろ」「静かにしないと撃つぞ」「騒ぐと殺すぞ」などと述べて脅迫し、財物を盗取した。
事件番号: 昭和23(れ)795 / 裁判年月日: 昭和23年11月18日 / 結論: 棄却
一 少年法第七一條第一項の趣旨は、裁判所が審理した結果被告人等に對して所論のごとく保護處分をなすのを相當と認めた場合には少年審判所に事件を送致しなければならぬのであるが、被告人等に對して保護處分をするのが相當であるか否かは、事實審たる原裁判所が諸般の具體的事情を考慮して定むべきものであつてその裁量權にのみ屬するところで…
あてはめ
本件では、深夜という時間帯に、多人数(5名)で住居に侵入している。その上で、短刀や拳銃を装った凶器という、生命への重大な危険を感じさせる手段を用い、かつ「殺すぞ」といった具体的な生命・身体への加害を告知している。このような状況下での行為は、客観的にみて相手方の反抗を不可能にする性質のものといえる。
結論
被告人らの行為は強盗罪の脅迫に該当し、強盗罪が成立する。
実務上の射程
強盗罪における脅迫の程度(反抗抑圧程度)を判断する際の基礎的な判例である。あてはめにおいては、時間的・場所的状況、凶器の有無、人数、告知された内容などを総合考慮して、客観的に反抗を抑圧するに足りるかを論ずる際の基準となる。
事件番号: 昭和23(れ)913 / 裁判年月日: 昭和23年12月16日 / 結論: 棄却
被告人等を少年法による保護處分その他實刑を科せざる處分を受けしめるのが相當であるか否か等はすべて事實審たる原裁判所の裁量權にのみ屬するところである。
事件番号: 昭和22(れ)41 / 裁判年月日: 昭和22年11月24日 / 結論: 棄却
一 深夜數人兇器を携えて屋内に侵入して判示のような脅迫行爲をしたときは、通常被害者において反抗を抑壓せられる程度の畏怖を感ずることは明瞭であるから、原判決がその行爲を(恐喝ではなく)強盜と認定して之に對し強盜の法條を適用したのは正當であつて何等の違法はない。 二 所論の被害物件が隠退蔵物資なりやは被告人の本件犯行(強盜…