しかし、略式命令、從つてその請求が違憲無効でないことは、當裁判所大法廷の判例とするところである。(昭和二三年(つ)第二號同年七月二九日決定)
略式命令及び略式命令の請求の合憲性
憲法32條,憲法37條1項,憲法82條,舊刑訴法523條1項
判旨
略式命令およびその請求を認める略式手続の規定は、憲法に違反せず有効である。したがって、略式手続の有効性を前提とする刑事訴訟法上の関連規定(旧法525条等)も当然に適用される。
問題の所在(論点)
略式手続および略式命令の規定が憲法に違反し無効となるか。また、それを前提とする刑事訴訟法上の諸規定(旧法525条等)の適用が否定されるか。
規範
略式手続および略式命令の制度は、憲法の定める適正手続や裁判を受ける権利等の諸規定に違反するものではなく、合憲有効である。この有効な略式手続が存在することを前提として、略式命令の請求がなされた場合に適用される刑事訴訟法上の手続規定も、その前提を欠くものではなく有効に機能する。
重要事実
被告人に対し略式命令の請求がなされた事案において、弁護人は、略式命令および略式手続自体が違憲無効であると主張した。その上で、略式手続が有効であることを前提として審理の中断や移送等を定める旧刑事訴訟法525条も、前提となる手続が違憲である以上、適用される余地がないと主張して再上告した。
あてはめ
最高裁判所大法廷の判例(昭和23年7月29日決定)によれば、略式命令およびその請求を認める略式手続は違憲ではない。本件においても同判例の見解を改める理由は認められない。したがって、略式手続が違憲無効であることを前提とする弁護人の主張は、その前提自体に理由がない。略式手続が合憲である以上、同手続を前提とする旧刑訴法525条の規定も有効に適用し得る。
結論
略式手続および略式命令は合憲である。したがって、これらを前提とする刑事訴訟法の規定の適用を妨げるものではなく、再上告は棄却される。
実務上の射程
略式手続の合憲性を確定させた初期の重要判例。答案上は、憲法31条(適正手続)や32条(裁判を受ける権利)との関係で、被告人の同意に基づく簡易な手続の合憲性を基礎づける際に参照される。旧法下の判示であるが、現行法においても略式手続の合憲的根拠としてその射程は維持されている。
事件番号: 昭和23(れ)871 / 裁判年月日: 昭和23年12月11日 / 結論: 棄却
一 略式手續が違憲でない以上略式命令の請求があつた場合に略式命令によるか又は通常の審判手續によるかは刑事訴訟法第五二五條により第一審が當該事件につき諸般の事情を勘案して決すべきものであるに拘わらず原審は本件公訴は通常の規定により審判すべきことを判示しているのであるからこの點に關する原審の見解は不當である。 二 刑事訴訟…