一 略式手續が違憲でない以上略式命令の請求があつた場合に略式命令によるか又は通常の審判手續によるかは刑事訴訟法第五二五條により第一審が當該事件につき諸般の事情を勘案して決すべきものであるに拘わらず原審は本件公訴は通常の規定により審判すべきことを判示しているのであるからこの點に關する原審の見解は不當である。 二 刑事訴訟法第七編に規定する略式手續が憲法に違反するものでないことは既に當裁判所の判例(昭和二三年(つ)第二號昭和二三年七月二九日大法廷決定參照)とするところである。 三 原判決の理由に不當な點があつても原判決の主文が結局正當な場合には原判決を破毀する必要はないのである。
一 略式命令の請求があつた場合裁判所のとるべき處置 二 略式手續の合憲性 三 原判決の理由に不當の點あるも主文が正當な場合原判決破毀の要否
刑訴法525條,刑訴法523條1項,刑訴法447條,憲法32條,憲法37條1項,憲法82條
判旨
刑事訴訟法に規定される略式手続は憲法に違反せず、検察官による略式命令の請求があった場合に略式命令によるか通常の手続によるかは、裁判所が諸般の事情を勘案して決定すべき事項である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上の略式手続は憲法に違反するか。また、略式命令の請求があった場合に、裁判所はどのように審判手続を選択すべきか。
規範
刑事訴訟法第7編の略式手続規定は憲法に違反しない。検察官による略式命令の請求がなされた場合、第一審裁判所は、刑事訴訟法第461条の3(旧525条)に基づき、当該事件につき諸般の事情を勘案して、略式命令によるか又は通常の審判手続によるかを決定することができる。
重要事実
検察官が被告人に対し略式命令の請求を行ったが、第一審判決において、略式手続そのものが違憲であるとして公訴を棄却した。これに対し、第二審(原審)は略式命令の請求と公訴提起は可分であり、仮に略式手続が違憲であっても公訴提起自体は有効であり通常手続で審判すべきであるとして、第一審判決を破棄差戻した。被告人側が略式手続の全面的違憲を主張して上告した事案である。
あてはめ
最高裁判例(昭和23年7月29日大法廷決定)に照らせば、略式手続は憲法に違反しない。したがって、略式命令の請求があった場合には、裁判所は刑事訴訟法第461条の3(旧525条)の規定に従い、当該事件の内容や性質等の諸般の事情を考慮して、略式命令を出すか通常手続に付すかを裁量により決定し得る。原審が「通常手続により審判すべき」と断じた点は裁判所の決定権を制約する意味で不当であるが、公訴棄却を否定した結論自体は正当である。
結論
略式手続は合憲であり、略式命令の請求に基づき裁判所が適切に手続を選択すべきである。本件公訴棄却を取り消した原判決の主文は正当であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
略式手続の合憲性を前提としつつ、検察官の略式請求があった場合における裁判所の審判手続選択権を確認している。答案上は、略式請求がなされた事件について、裁判所がその裁量により通常手続に移行できる根拠(刑事訴訟法461条の3)として引用できる。
事件番号: 昭和23(れ)868 / 裁判年月日: 昭和24年7月13日 / 結論: 棄却
一 略式手續は、對審判決の公開に關する憲法第八二條の適用を受けるものではなく、また、同法第三七條所定の被告人の迅速な公開裁判を受ける權利、證人を求め若しくは訊問する權利又は辯護人を依頼する權利等を害するものでもなく、また、もとより被告人の自白に關する同法第三八條第三項に觸れるものでもない。しかのみならず口頭辯論に基く通…