裁判所が言渡したのは判決ではなく法定期間内に上告趣意書の提出が無かつたことを理由として上告を棄却した決定であること記録により明らかである。決定に對しては右法條に基く再上告は許されないこと勿論であるから本件上告は刑事訴訟法施行法第二條舊刑事訴訟法第四四五條によりこれを棄却すべきものである。(當裁判所昭和二三年(れ)第一〇九一號、同年一一月十三日言渡判決)
法定期間内に上告趣意書の提出がなかつたことを理由として上告を棄却した決定に對する再上告の可否
舊刑訴法418條,舊刑訴法445條
判旨
刑事訴訟法応急措置法17条に基づく再上告は、判決に対してのみ許されるものであり、上告棄却の「決定」に対しては行うことができない。
問題の所在(論点)
上告棄却の「決定」に対し、刑訴応急措置法17条(憲法違反等を理由とする再上告規定)に基づく上告を申し立てることができるか。
規範
刑事訴訟法施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律17条(現行法の特別上告等に相当する規定)の対象は「判決」に限られる。したがって、同条に基づく不服申立ては、適法な上告趣意書の不提出等を理由とする「決定」を対象とすることはできない。
重要事実
被告人は、塩酸ヂアセチルモルヒネ等の所有禁止違反事件において、昭和23年9月9日に大阪高等裁判所が言い渡した上告棄却の裁判に対し、憲法37条2項違反等を理由に、刑訴応急措置法17条に基づく再上告を申し立てた。しかし、当該大阪高裁の裁判は、法定期間内に上告趣意書の提出がなかったことを理由とする「決定」であった。
事件番号: 昭和26(れ)2495 / 裁判年月日: 昭和27年6月25日 / 結論: 棄却
憲法第三八条第三項にいわゆる「本人の自白」には、判決裁判所の公判延における被告人の自白を含まない。
あてはめ
本件において被告人が不服を申し立てている対象は、上告趣意書の不提出を理由とする上告棄却の裁判である。記録によれば、この裁判は「判決」ではなく「決定」の形式で行われている。刑訴応急措置法17条は「判決」に対する不服申立てを定めたものであるから、その性質上、決定に対して同条を適用して上告することは許されない。
結論
本件上告は、決定に対する不適法な上告であるため、旧刑事訴訟法445条に基づき棄却される。
実務上の射程
裁判の形式(判決か決定か)によって上訴等の不服申立手段が厳格に区別されるという、刑事訴訟法上の基本原則を確認するものである。答案上は、特別上告等の対象が「判決」に限定されている場合の形式的要件の検討において参照し得る。
事件番号: 昭和24(れ)400 / 裁判年月日: 昭和24年7月26日 / 結論: 棄却
一 原判決の認定した事實によれば本件物件を金一五萬圓に見積り、被告人が買受けるキヤラコ代金の内金の代りとして交付したというのであるから、原判決において適応した昭和二〇年一一月二〇日厚生省令第四四號第一條にいわゆる「販賣」に該當するものと解すべきである。 二 塩酸ヂアセチルモルヒネを販売した行為が、相手方の詐欺に基くもの…
事件番号: 昭和26(れ)1079 / 裁判年月日: 昭和26年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が実質的に事実誤認の主張に帰し、刑事訴訟法405条の適法な上告理由に該当しない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てたが、その趣旨は原審の認定した事実関係を争うものであった(詳細な具体的犯罪事実は判決文からは不明)。 第2 問題の所在(論点):被告人が…
事件番号: 昭和24(れ)2545 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 棄却
原判決の法律の適用を調査すると、被告人Aの判示、第一の塩酸ヂアセチルモルヒネ販売の所為、第二の麻薬の所持の所為について、原判決は、犯罪後に法律による刑の変更があつたものとして刑法第六条第一〇条を適用している。しかし、判示昭和二〇年厚生省令第四四号及び麻薬規則は共に昭和二三年七月一〇日麻薬取締法第六五条により廃止せられた…