原裁判所が本件についてなした裁判が、具体的に公正妥当を欠くとの理由で、右裁判を目して憲法三二条(論旨に三三条とあるは誤記と認める)に違反するものということのできないことは当裁判所の判例の趣旨に徴し極めて明かである(昭和二三年(れ)第五一二号同二四年三月二三日大法廷判決参照)。
原審の裁判が具合的に公正妥当を欠くとの主張と憲法第三二条
憲法32条
判旨
裁判所がなした具体的事案の裁判が公正妥当を欠くという理由のみでは、憲法32条の裁判を受ける権利に違反するとはいえない。また、単なる刑訴法違反や事実誤認の主張は、刑訴法405条所定の上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
刑事裁判における具体的な判断の妥当性や公平性の欠如が、憲法32条の違反を構成するか。また、単なる刑訴法違反や事実誤認を理由とする上告が認められるか。
規範
裁判所が行った裁判の内容や手続が、具体的・個別の事案において公正妥当を欠くというだけでは、直ちに憲法32条が保障する「裁判を受ける権利」を侵害するものとはいえない。また、刑事訴訟法405条の上告理由として認められるのは憲法違反や判例違反に限られ、単なる法令違反や事実誤認は適法な上告理由を構成しない。
重要事実
上告人(被告人)は、原審(控訴審)の判断が具体的に公正妥当を欠くものであるとして、これが憲法32条(裁判を受ける権利)に違反すると主張して上告を申し立てた。また、弁護人からは刑事訴訟法違反および事実誤認の主張もなされたが、憲法違反や判例違反を具体的に基礎付ける事由については判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、昭和24年3月23日大法廷判決の趣旨を引用し、原裁判所の判断が具体的に公正妥当を欠くという主張だけでは憲法32条違反には当たらないと判示した。また、弁護人が主張する刑訴法違反や事実誤認の点は、刑訴法405条が定める限定的な上告理由(憲法違反・判例違反)のいずれにも該当しない形式的な不備であると判断した。
結論
本件上告には憲法32条違反の事由はなく、その他の主張も適法な上告理由に当たらないため、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事実務における上告理由の限定性を示す。単なる実体法の解釈誤りや事実認定の不当性を憲法違反に読み替えて主張しても、それが裁判手続の本質を損なう特段の事情がない限り、憲法32条違反として受理されないことを確認する際に参照される。
事件番号: 昭和28(あ)3426 / 裁判年月日: 昭和28年11月12日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和26(あ)4194 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: 棄却
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