判旨
憲法37条1項が保障する「公平な裁判所の裁判」の意義及び同36条が禁止する「残虐な刑罰」の意義について、従前の判例を維持し、上告理由にあたらないと判断した。
問題の所在(論点)
憲法37条1項(公平な裁判所)および憲法36条(残虐な刑罰)の解釈と、本件における上告理由(刑訴法405条)の存否。
規範
1. 憲法37条1項にいう「公平な裁判所の裁判」とは、裁判所が構成において偏頗(へんぱ)のおそれがなく、独立して裁判権を行使できる客観的状況が保障されていることを指す。2. 憲法36条が禁ずる「残虐な刑罰」とは、不必要な苦痛を伴い、人道上の見地から容認できない刑罰をいう。
重要事実
被告人が憲法37条1項の「公平な裁判所の裁判」を受ける権利の侵害、および憲法36条の「残虐な刑罰」の禁止違反などを理由として上告を申し立てた事案。原審までの判断に対し、訴訟法違反、事実誤認、量刑不当などが主張された。具体的な犯罪事実の内容については本判決文からは不明。
あてはめ
弁護人が主張する憲法違反は、その実質において単なる訴訟法違反や量刑不当の主張に留まるものである。最高裁判所が示した過去の判例(最大判昭23.5.5、最大判昭23.6.23等)の基準に照らせば、本件の主張は憲法が保障する公平な裁判所の侵害や残虐な刑罰には該当しない。また、記録を精査しても刑訴法411条を適用して職権で判決を破棄すべき事由も認められない。
結論
本件上告には刑訴法405条所定の上告理由が認められず、棄却される。
実務上の射程
憲法上の基本的権利に関する定型的な判示であり、具体的な事案へのあてはめを検討する際の前置的な規範として機能する。司法試験においては、具体的制度(忌避等)が公平な裁判所の要請に反しないか、または特定の刑罰が人道に反するかを検討する際の出発点となる抽象的定義として活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)2331 / 裁判年月日: 昭和26年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、その構成等において偏頗の疑いがない裁判所を意味し、単に被告人に不利益な裁判がなされたことのみをもって同条に反するとはいえない。 第1 事案の概要:被告人は、原審(控訴審)の裁判が被告人に対して不利益な判断を示したことを捉え、当該裁判が憲法37条1項に違…