判旨
上告審において、控訴審で主張されず判断を経ていない事項や、単なる法令違反、量刑不当を理由とする主張は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
控訴審で主張されていない事項や、単なる法令違反、量刑不当を理由とする主張が、刑事訴訟法上、適法な上告理由として認められるか。
規範
上告審において適法な理由となるのは、憲法違反や判例違反等に限られる。控訴趣意として主張されず原審(控訴審)の判断を経ていない事項や、単なる法令違反、量刑不当の主張は、刑事訴訟法が定める適法な上告理由を構成しない。ただし、職権調査事由(同法411条)がある場合はこの限りではない。
重要事実
被告人AおよびBの弁護人が、量刑不当、法令違反、および控訴審で主張していなかった事項等を理由として上告を申し立てた事案である。被告人Aの弁護人は計7点の上告趣意を、被告人Bの弁護人も上告趣意を提出したが、いずれも憲法違反や判例違反を具体的に指摘するものではなかった。
あてはめ
被告人Aの弁護人による量刑不当の主張は適法な上告理由にならない。また、控訴趣意として主張されず原審の判断を経ていない事項や、単なる法令違反の主張についても、上告審の構造に照らし不適法である。さらに、被告人A自身の事件に関係のない主張は採用の余地がない。被告人Bの弁護人による主張も同様に、控訴趣意に含まれず単なる法令違反に留まるため不適法である。記録上、職権で判決を破棄すべき(刑訴法411条)顕著な正義に反する事由も認められない。
結論
本件各上告は、適法な上告理由を欠くため、いずれも棄却される。
実務上の射程
本決定は、上告理由の制限を厳格に解釈する実務上の運用を確認するものである。答案作成においては、控訴審の判断を経た憲法判断や判例違反の有無が主戦場となることを示唆し、それ以外の不服は原則として門前払いとなる点に注意が必要である。
事件番号: 昭和26(あ)1649 / 裁判年月日: 昭和27年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として判例違反を主張する場合には、違反の対象となる判例を具体的に明示しなければならず、これを欠く場合は上告適法の理由にならない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBが、原審の判決に対し上告を申し立てた事案。被告人Aの弁護人は判例違反を主張したが、具体的な判例の明示がなく、さらに刑訴法335…