判旨
上告理由として判例違反を主張する場合には、違反の対象となる判例を具体的に明示しなければならず、これを欠く場合は上告適法の理由にならない。
問題の所在(論点)
判例違反を上告理由とする場合に求められる明示の程度、および控訴審で主張しなかった事由を上告理由として主張することの可否。
規範
刑法訴訟法405条に基づく上告の申立てにおいて、判例違反を理由とする場合には、当該判例を具体的に明示することを要する。また、原審で判断を受けていない事由を直接の上告理由として主張することはできない。
重要事実
被告人AおよびBが、原審の判決に対し上告を申し立てた事案。被告人Aの弁護人は判例違反を主張したが、具体的な判例の明示がなく、さらに刑訴法335条2項(理由の明示)の判断遺脱についても控訴趣意として主張していなかったため、原審の判断を経ていない状態であった。
あてはめ
被告人A側の主張は、判例違反をいうものの具体的な判例の明示がない。これは上告適法の理由としての要件を欠くといえる。また、理由の判断遺脱の主張は控訴趣意として主張されておらず、原審の判断を経ていないため、上告審で審理の対象となる事由には当たらないと解される。
結論
本件各上告は、適法な上告理由に当たらないため、いずれも棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における上告適格に関する手続的要件を確認した判例である。司法試験の答案上では、上告理由の適格性や、審級構造に基づく主張制限(原審未主張事項の排斥)を論じる際の基礎的な根拠として機能する。
事件番号: 昭和26(あ)3490 / 裁判年月日: 昭和27年3月27日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和26(あ)4194 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告について、事実誤認や量刑不当の主張は刑訴法405条の上告理由に当たらない。また、違憲の主張についても、先例の趣旨に照らし、憲法違反は認められない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起したが、その主張内容は事実誤認および量刑不当であった。また、弁護人からも憲法違反を理由とする上告がなさ…