判旨
憲法違反や判例違反を主張していても、その実質が単なる訴訟法違反や事実誤認、量刑不当にすぎない場合は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
形式的に憲法違反や判例違反を標榜する上告趣意が、その実質において単なる事実誤認や量刑不当である場合に、刑事訴訟法上の適法な上告理由として認められるか。
規範
上告趣意において憲法違反又は判例違反が主張されている場合であっても、その主張の実質が単なる訴訟法違反、事実誤認、又は量刑不当を主張するにすぎないときは、刑事訴訟法に定める適法な上告理由には該当しない。
重要事実
被告人側が、原判決には憲法違反及び判例違反があるとして上告を提起した。しかし、その具体的な主張内容を精査したところ、実質的には訴訟手続の不備や事実認定の誤り、あるいは刑の重すぎを訴えるものであった。
あてはめ
弁護人が主張する憲法違反及び判例違反は、その実質を検討すると単なる訴訟法違反、事実誤認、または量刑不当の主張に帰するものである。刑事訴訟法が定める上告理由の厳格な制限に照らせば、形式的な文言にかかわらず、実質的にこれらの事由を争うものは適法な理由といえない。また、記録を精査しても職権により判決を破棄すべき(刑訴法411条)事由も認められない。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
上告審における理由の特定に関する判例である。答案上は、上告理由が憲法違反や判例違反(刑訴法405条)に限定されていることを論じる際、形式的な主張だけでなくその実質が要件を充足している必要があることを補足するために引用できる。ただし、本決定自体は非常に短文であり、具体的なあてはめの手法は個別の事案による。
事件番号: 昭和26(あ)3204 / 裁判年月日: 昭和28年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由における判例違反の主張につき、原判決の認定した事実が証拠に基づき肯定でき、かつその判断が引用する判例に抵触しない場合には、上告理由を構成しない。また、憲法違反を名目とした実質的な量刑不当の主張は、刑訴法405条の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決が示した事実認定およ…
事件番号: 昭和26(あ)4194 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告について、事実誤認や量刑不当の主張は刑訴法405条の上告理由に当たらない。また、違憲の主張についても、先例の趣旨に照らし、憲法違反は認められない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起したが、その主張内容は事実誤認および量刑不当であった。また、弁護人からも憲法違反を理由とする上告がなさ…
事件番号: 昭和26(あ)3490 / 裁判年月日: 昭和27年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する前提となる事実が認められない場合には、刑事訴訟法405条に定める適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:弁護人が、憲法違反を理由として最高裁判所に対し上告を申し立てた事案。しかし、判決文によれば、当該憲法違反の主張の前提となる事実自体が認められない状況であった。 第2 問…