賍物罪において賍物であることの知情の點について被告人の自白が唯一の證據であつたとしてもその他の犯罪事實について補強證據がある限り刑訴應急措置法第一〇條第三項に違反するものではない。(昭和二三年三月一六日言渡昭和二二年(れ)第二三八號事件判決参照)
賍物罪において賍物であることの知情の點について被告人の自白が唯一の證據である場合と刑訴應急措置法第一〇條第三項
刑法256條,刑訴應急措置法10條3項
判旨
贓物罪において、贓物であることの知情(犯意)について被告人の自白が唯一の証拠であっても、その他の犯罪事実について補強証拠がある限り、自白のみによる処罰を禁じた規定には違反しない。
問題の所在(論点)
贓物罪における「知情(贓物であることの認識)」という主観的要件について、自白以外の補強証拠が必要か。言い換えれば、補強証拠の範囲は犯罪事実の主観的側面にまで及ぶ必要があるか。
規範
自白の補強証拠(憲法38条3項、刑訴法319条2項)の要否は、犯罪事実の客観的部分について判断されるべきであり、犯意(知情の点)などの主観的要素については、被告人の自白のみで認定することが可能である。
重要事実
被告人が贓物罪(現在の盗品等関与罪)に問われた事案において、被告人が「その物が贓物であることを知っていた」という知情の点について、直接的な証拠は被告人の自白のみであった。弁護人は、この知情の点について補強証拠がない以上、有罪判決は違憲・違法であると主張して上告した。
あてはめ
贓物罪の成立には客観的事実としての贓物の授受等に加え、主観的要件としての知情が必要である。しかし、補強証拠の法理は「架空の犯罪に対する処罰の防止」を趣旨とするため、犯罪の客観的事実について補強証拠が存在すれば足りる。本件では、その他の犯罪事実(客観的な贓物の存在や授受の事実等)について補強証拠が存在しており、主観的な知情の点について自白のみに基づき認定したとしても、法の趣旨に反するものではない。
結論
知情の点について被告人の自白が唯一の証拠であっても、客観的な犯罪事実について補強証拠がある限り、自白のみによる処罰には当たらず、有罪とすることができる。
実務上の射程
補強証拠の範囲に関する「実質説」に近い立場を示した初期の判例であり、主観的要素(故意・目的・知情等)については補強証拠を不要とする実務上の準拠枠組みを提示している。
事件番号: 昭和26(あ)1902 / 裁判年月日: 昭和28年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】犯罪の主観的要件(知情等)については、その直接の証拠が自白のみであっても、他の客観的事実による確証を通じて自白の真実性が保証されれば、これらを総合して犯罪事実を認定できる。 第1 事案の概要:被告人Aは、盗品(贓物)であることを知りながらこれを譲り受けた等として贓物罪に問われた。原審は、被告人が贓…