所論第二審におけるAに對する證人訊問は同人は舊刑訴法第二〇一條第一項第五號に該當する者であるのに、之に宣誓せしめて訊問したのは同條違反であり、延いて憲法第三八條第一項に違反するものであるとしても、第二審判決は同證人の證言は之を證據に採つてはいないのであるから、假令右條違反があるとしても舊刑訴法第四一一條の規定に依り判決(第二審判決)に影響を及ぼさないものである。
舊刑訴法第二〇一條第一項第五號違反の證人訊問と同證人の證言を採證しなかつた判決の正否
舊刑訴法411條,舊刑訴法201條1項5號
判旨
宣誓拒絶権者に対して宣誓をさせた上で証人尋問を行った手続に違法があったとしても、その証言が判決の証拠として採用されていない場合には、判決に影響を及ぼすべき法令違反には当たらない。
問題の所在(論点)
宣誓させてはならない証人に対して宣誓をさせて尋問を行った手続上の違法が、その証言を証拠として採用していない判決との関係で、上告理由となる「判決に影響を及ぼすべき法令の違反」にあたるか。
規範
訴訟手続に法令違反が存する場合であっても、当該違反に係る証拠を判決の基礎としていないときは、旧刑事訴訟法411条(現行刑事訴訟法379条、383条等参照)にいう「判決に影響を及ぼすべき」違反には該当せず、上告理由とはならない。
重要事実
第二審において証人Aが尋問された際、Aは旧刑事訴訟法201条1項5号(現行法上の証言拒絶権等に関連する規定)に該当する者であった。しかし、裁判所はAに宣誓をさせた上で訊問を行った。弁護人はこの手続が同条違反および憲法38条1項に違反すると主張したが、第二審判決はAの証言を事実認定の証拠として採用していなかった。
事件番号: 昭和23(れ)107 / 裁判年月日: 昭和23年6月2日 / 結論: 棄却
刑訴第六〇條第二項第四號には訴訟手續の公開を禁じたときは、その旨及び理由を公判調書に記載すべき旨を規定しているが公開した旨を公判調書に特に記載すべき旨を規定していないから公判調書に公開を禁じた旨の記載がない限り公判は公開して行われたものと認むるのが相當である。
あてはめ
本件では、Aに対する宣誓および尋問が法令違反ないし憲法違反である可能性が指摘されている。しかし、第二審判決の理由を検討すると、当該証人の証言は証拠として採用されていない。そうであれば、仮に尋問手続に所論のような違法があったとしても、そのことが判決の結論を左右するものではない。したがって、判決に影響を及ぼしたとはいえず、裁判所の判断を要する適法な上告理由を構成しないと解される。
結論
本件の宣誓尋問手続に違法があるとしても、判決に影響を及ぼさないため、上告を棄却すべきである。
実務上の射程
手続的違反(絶対的控訴理由を除く)を理由に上告・控訴を申し立てる際、当該違反が事実認定の根拠(証拠)となっているかという「影響性」の有無を検討する際の基礎となる。証拠採用されていない証言に関する手続違反は、原則として判決を破棄すべき理由にならないという判断基準を示している。
事件番号: 昭和26(れ)730 / 裁判年月日: 昭和26年9月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、刑事訴訟法411条(判決の破棄)の適用の有無について判断したものであり、記録を精査しても同条を適用すべき事由は認められないとして、上告を棄却した。 第1 事案の概要:被告人Aおよび被告人Bに対し、何らかの犯罪事実(判決文からは不明)について有罪判決等が下された事案において、弁護人が上告趣…
事件番号: 昭和22(れ)323 / 裁判年月日: 昭和23年6月23日 / 結論: 棄却
一 被告人がAから返還をうけた金百四十圓の金錢は性質上代替物であるから押收されていたとか又は封金で特別に保管されていたとかその他特定していることが明かでない限り没收することができない場合に該當するものとしてその價額を追徴することは毫も差支えないところである。 二 憲法第三六條は「公務員による拷問及殘虐な、刑罰は、絶對に…
事件番号: 昭和22(れ)143 / 裁判年月日: 昭和22年12月15日 / 結論: 破棄差戻
司法警察官の聽取書の供述者を證人として訊問することを辯護人が申請しているにかかわらず、これを却下し、供述者を公判期日において訊問する機曾を被告人に興えないで、前記聴取書を證據として採つたことは、刑訴應急措置法第一二條に反するものである。