刑訴第六〇條第二項第四號には訴訟手續の公開を禁じたときは、その旨及び理由を公判調書に記載すべき旨を規定しているが公開した旨を公判調書に特に記載すべき旨を規定していないから公判調書に公開を禁じた旨の記載がない限り公判は公開して行われたものと認むるのが相當である。
公判公開の有無と公判調書の記載
刑訴法60條2項4號
判旨
公判調書に公開を禁止した旨の記載がない限り、当該公判は公開して行われたものと認めるのが相当である。したがって、公判調書に「公開した」旨の特段の記載がなくても、手続の公開原則に反する違法があるとはいえない。
問題の所在(論点)
公判調書に「公開した」旨の記載がない場合、憲法および刑事訴訟法が要求する公判公開の原則に違反したといえるか。公判調書の記載と公開の事実認定の在り方が問題となる。
規範
刑事訴訟法(旧法)の規定によれば、訴訟手続の公開を禁止した場合にはその旨及び理由を公判調書に記載すべきであるが、公開した旨を公判調書に特に記載すべき旨の規定はない。したがって、公判調書に公開を禁止した旨の記載がない限り、特段の事情がない限り公判は公開して行われたものと事実上推定される。
重要事実
被告人両名が、投票および投票取りまとめの報酬として金一千円を授受したという公職選挙法違反等(当時の法規)の事案において、被告人側が上告を申し立てた。その上告理由の一つとして、原審(二審)の第二回公判調書に「公判を公開した」旨の記載がないことを根拠に、公開の原則に反する違法がある旨を主張した。
事件番号: 昭和23(れ)1111 / 裁判年月日: 昭和24年3月26日 / 結論: 棄却
所論第二審におけるAに對する證人訊問は同人は舊刑訴法第二〇一條第一項第五號に該當する者であるのに、之に宣誓せしめて訊問したのは同條違反であり、延いて憲法第三八條第一項に違反するものであるとしても、第二審判決は同證人の證言は之を證據に採つてはいないのであるから、假令右條違反があるとしても舊刑訴法第四一一條の規定に依り判決…
あてはめ
本件の原審公判調書を確認すると、公開を禁止した旨の記載は存在しない。刑事訴訟法上、公開を禁止した場合の記載義務は存在するが、公開して実施した場合にその旨を記載する義務を課す規定は存在しない。そのため、禁止の記載がない以上、法に従い公開された状態で審理が行われたと認定するのが相当である。
結論
原審公判は公開して行われたものと認められる。したがって、公開した旨の記載がないことを理由に公開原則違反を主張する論旨は理由がなく、上告を棄却する。
実務上の射程
憲法82条および刑訴法上の公開原則に関する論点。実務上、公判調書の形式的不備を理由とする公開原則違反の主張に対し、本判例の論理(禁止の記載がない=公開の推定)を用いることで、手続の適法性を維持する際の反論として機能する。
事件番号: 昭和22(れ)323 / 裁判年月日: 昭和23年6月23日 / 結論: 棄却
一 被告人がAから返還をうけた金百四十圓の金錢は性質上代替物であるから押收されていたとか又は封金で特別に保管されていたとかその他特定していることが明かでない限り没收することができない場合に該當するものとしてその價額を追徴することは毫も差支えないところである。 二 憲法第三六條は「公務員による拷問及殘虐な、刑罰は、絶對に…
事件番号: 昭和23(れ)1663 / 裁判年月日: 昭和25年6月28日 / 結論: 棄却
一 衆議院議員選舉法第一一四條は、當選を得る目的をもつて、選舉人又は選舉運動者に對し金錢その他の財産上の利益が供與せられた場合について「收受シ……タル利益ハ之ヲ没收ス」と規定しているのであつて、同條は「利益收受者」に對する刑として没收刑を規定しているのである。しかるに、原判決が没收を言渡した押收の金八〇〇圓は被告人が判…
事件番号: 昭和23(オ)31 / 裁判年月日: 昭和23年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙における違反行為が認められる場合であっても、それが著しく選挙の公正を害し、または選挙の結果に異動を及ぼすおそれがある場合でない限り、当選または選挙は無効とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、当選人である原正則が「書記」の地位にあったとして、その被選挙権の欠如や選挙の無効を主張した。しかし…