一 裁判所は被告人個々について、その年齢、犯行の動機、犯情、その他諸般情状を審接して各量刑するものであつて原判決が被告人Aに對し相被告人等よりも重い刑を言渡したからと云つて、只それだけでは量刑上權衡を失し且つ公平を缺いた裁判であるとは云い得ない。 二 第四點中原判決は昭和二三年中(その六月二八日)に言渡されたものであるけれども、上告審の審理は昭和二四年になつてからであるから新刑訴法の施行後であつて、從つて新刑訴第四一一條第二號の規定に依り、量刑甚しく重きに失する本件では、之を以つて上告の理由と爲し得るものであると主張するものであるが新刑訴施行法第二條並びに刑訴應急措置法第一三條第二項の各規定に依りその主張の不當なことは明白である。
一 相被告人よりも重い刑を言渡したことと公平な裁判 二 新刑訴法施行前に言渡された判決に對する新刑訴法施行後の上告と新刑訴法第四一一條第二號適用の有無
憲法37條1項,刑訴法411條2號,刑訴施行法2條,刑訴應急措置法13條2項
判旨
量刑は各被告人の年齢、犯行の動機、犯情等の諸般の事情を個別具体的に審按して決定されるべきものであり、共犯者間での刑の不均衡のみをもって直ちに不当とはいえない。
問題の所在(論点)
共犯事件において、情状が比較的軽いとされる被告人に対し、他の共犯者よりも重い刑を科すことが、量刑上の公平を欠く違法なものとなるか。
規範
量刑の決定に際しては、裁判所は被告人個々について、その年齢、犯行の動機、犯情、その他諸般の情状を総合的に審按して行うべきものである。したがって、特定の被告人が相被告人よりも重い刑を言い渡されたという一事をもって、直ちに量刑上の権衡を失し、公平を欠く裁判であると断ずることはできない。
重要事実
被告人A、B、Cが関与した刑事事件において、原審は被告人Aに対し、共犯者であるBおよびCよりも重い刑を言い渡した。これに対し被告人Aは、自らの情状が共犯者らよりも軽いにもかかわらず、より重い刑を科されたことは公平の原則に反し、量刑不当であるとして上告した。
あてはめ
本件において、被告人Aは共犯者との刑の対比のみを理由に不公平を主張するが、量刑は個別の被告人ごとにその属性や動機、具体的な犯行態様を総合考慮して決せられるべき性質のものである。原審がこれらの諸般の情状を審按した結果として、被告人Aに相被告人らより重い刑を科したとしても、それは個別的な情状判断の結果にすぎない。単に共犯者間の比較において刑の軽重が逆転しているように見えることのみでは、量刑の裁量権を逸脱した不公平なものとはいえない。
結論
量刑の不当をいう点はいずれも適法な上告理由とならず、共犯者間の刑の不均衡を理由とする公平失当の主張も理由がないため、本件各上告を棄却する。
実務上の射程
共犯者間の量刑の均衡(刑の公平性)が争点となる事案において、個別的な情状の差異に基づく裁量の範囲内であることを示すための根拠として活用できる。ただし、現代の訴訟実務においては、特段の事情がない限り共犯者間の均衡も重視されるため、本判決を引用しつつも、個別化の要請と均衡の要請の比較衡量として論じることが適切である。
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