判旨
共犯者間での量刑の差異や、特定の被告人に対する実刑判決の言渡しは、裁判所の広範な自由裁量に属する。したがって、他の共犯者より重い刑を科したとしても、直ちに法の下の平等等を定めた憲法に違反するものではない。
問題の所在(論点)
裁判所が共犯者の一人に対して他の共犯者よりも重い刑を科し、または実刑を言い渡すことが、憲法13条や14条の定める平等原則等に違反するか。また、量刑判断における裁判所の裁量権の限界が問われた。
規範
量刑および刑の執行猶予の可否は、諸般の事情を考慮して犯人に適切妥当な刑罰を量定すべき裁判所の自由裁量権に属する。共犯者間において、犯状が一部類似していたとしても、異なる刑罰を科し、あるいは実刑の有無に差が生じることは裁量の範囲内として許容される。
重要事実
被告人Aおよび被告人Bは、窃盗罪の共犯として起訴された。第一審判決は、被告人Aに対して懲役1年の実刑を言い渡したが、共犯者との間で量刑の均衡が取れていない、あるいは実刑判決自体が不当であるとして、憲法13条(個人の尊重)および14条(法の下の平等)違反を理由に上告がなされた。
あてはめ
事実審裁判所は、諸般の事情を総合的に考慮して、各犯人に個別的に適切な刑罰を決定する。被告人Aの犯状が他の共犯者と類似する面があったとしても、個別的な情状により重く処罰されることはあり得る。執行猶予の適否も同様に裁判所の裁量に属する。本件において、第一審がAに実刑を科したことを原審が是認した判断は、この裁量の範囲内のものであり、憲法が保障する平等原則等に抵触する不合理な差別とはいえない。
結論
共犯者間で量刑に差を設けること、および被告人Aに対して実刑を科した判断は違憲ではない。本件各上告を棄却する。
実務上の射程
量刑不当を憲法違反の問題として構成することの困難さを示す。司法試験においては、量刑の個別化の原則と裁量権の関係を説明する際の根拠となる。実務上は、共犯者間の均衡(量刑の公平性)が重視されるが、本判決は裁判所の裁量権が優越することを明示しており、量刑不当を理由とした上告のハードルの高さを示す資料として機能する。
事件番号: 昭和26(あ)1130 / 裁判年月日: 昭和26年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者間に量刑上の差異が存在することや、被告人側から見て量刑が不公平であると感じることは、憲法14条(法の下の平等)や憲法37条1項(公平な裁判所の裁判を受ける権利)の違反を構成しない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者との間で量刑に差異があること等を不服とし、これが憲法14条の「法の下の平等」…