判旨
量刑は事実審裁判所の自由裁量に属する権限であり、量刑が不当であるという主張のみでは、適法な宣告によらない拘束を禁じた憲法に違反するとの主張は成り立たない。
問題の所在(論点)
事実審裁判所による量刑の決定が不当であるという主張が、直ちに憲法違反(適法な宣告によらない拘束)の根拠となり得るか。すなわち、量刑の決定権限の性質が問題となる。
規範
刑の量定(量刑)は、事実審裁判所の自由裁量によって決し得る権限に属する事項である。したがって、量刑の当否のみを理由として、憲法が要求する適法な手続によらない刑罰の宣告であると直ちに評価することはできない。
重要事実
被告人の弁護人は、原判決による量刑が公正妥当な刑の宣告ではないと主張した。その上で、かかる不当な量刑に基づく宣告は「適法な宣告によらないで被告人をその意に反する苦役に服させようとするもの」であり、憲法に違反するとして上告を申し立てた。なお、具体的な犯罪事実や刑の内容については、本判決文からは不明である。
あてはめ
弁護人の主張は、原判決の量刑が不当であるという点に尽きる。しかし、量刑は事実審裁判所の広範な裁量権の行使として認められるものである。本件において、原審が第一審判決の量刑を維持した判断に裁量を逸脱したような違法性は認められず、憲法違反の前提となる「不適法な宣告」には該当しない。したがって、量刑不当を理由とする憲法違反の主張は、論理的な前提を欠くものである。
結論
量刑は事実審裁判所の自由裁量に属するため、単なる量刑不当の主張は憲法違反の事由には当たらない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、量刑が事実審の専権事項(自由裁量)であることを明示した初期の判例である。司法試験の答案上は、量刑不当が直ちに憲法違反や法律違反を構成するわけではないことを説明する際の理論的根拠として活用できるが、現代の刑事訴訟法下では、刑訴法405条の「上告理由」の限定性(憲法違反・判例違反)との関係で論じられることが多い。
事件番号: 昭和26(あ)2787 / 裁判年月日: 昭和26年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の量定および未決勾留日数の算入は原審の広範な裁量に属する事項であり、これに対する不服申し立ては、刑事訴訟法405条所定の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原審の判決に対し、量刑および未決勾留日数の算入が不当であるとして上告を申し立てた事案。判決文からは具体的な犯罪事実の詳細は不…