一 連續犯を構成する犯罪事實を判決に示すには連續して行われた數個の行爲を包括してその犯行の期間、場所、態様等を特定するに必要な程度の具體的事實を説明すれば足りるのである。 二 原判決は、被告人がAに對し自己の不良としての性行を利用して金錢の貸借を申し向け若し同人がこれに應じないときはその身邊にいかなる危害が及ぶかも知れないような態度を示して同人を畏怖させたことを判示している以上恐喝の所爲の具體的表示として十分である。
一 連續犯についての判示の程度 二 恐喝行爲判示の程度
刑法55條,刑法249條
判旨
連続犯を構成する犯罪事実は、犯行の期間、場所、態様等を特定するに必要な程度の具体的事実を包括的に説明すれば足り、また、恐喝罪の成立には不良としての性行を利用して相手方を畏怖させる態度を示せば十分である。
問題の所在(論点)
1. 連続犯を構成する数個の犯罪事実について、どの程度の具体性を持って判決に記載すべきか。 2. 不良としての性行を利用し、暗黙の脅迫によって金銭を要求する行為が恐喝罪の実行行為(脅迫)に該当するか。
規範
連続犯(旧刑法下の概念)を構成する犯罪事実の判示においては、数個の行為を包括してその犯行の期間、場所、態様等を特定するに必要な程度の具体的事実を説明すれば足りる。また、恐喝罪における「脅迫」は、自己の不良としての性行を利用し、相手方が応じない場合には身辺に危害が及ぶかもしれないと思わせる態度を示して畏怖させるものであれば足りる。
重要事実
被告人は被害者Aに対し、自らが不良であることを背景に金銭の貸借を申し向けた。その際、もしAがこれに応じないときには、その身辺にいかなる危害が及ぶかもしれないという態度を示してAを畏怖させた。原判決は、Aに対する個別の恐喝事実を具体的に説明したほか、その他の犯行についても期間、場所、回数、被害者氏名、態様、被害総額を包括的に判示した。
あてはめ
連続犯の判示として、期間や場所、被害総額等を包括的に示しており、犯行を特定するに足りる具体的事実が説明されているといえる。また、直接的な害悪の告知がなくとも、不良としての属性を背景に「応じなければ危害が及ぶ」と予感させる態度を示したことは、相手方を畏怖させるに十分な恐喝の具体的表示にあたる。
結論
原判決に事実摘示の不備や証拠法則違反の違法はなく、恐喝罪および連続犯の成立を認めた判断は正当である。
実務上の射程
現在は連続犯規定が削除されているが、包括一罪や数罪の判示における特定の問題として参照しうる。特に恐喝罪の「脅迫」の認定において、具体的言葉によらず「不良としての性行」や「態度」による黙示の脅迫を認めた点は、現代の暴力団犯罪等における恐喝の認定実務においても重要な指針となる。
事件番号: 昭和23(れ)808 / 裁判年月日: 昭和23年12月7日 / 結論: 棄却
原判決理由は右A、B兩名が被告人の要求に應じないときは如何樣なことをされるかも知れないと意識される樣な言語舉動を示し其爲め右兩名は如何樣のことをされるかも知れないと畏怖心を起したものである旨を説示したと解されるのであつて、如何樣なことをされるかも知れないということは一見漠然としているが、被害者の生命、身體、自由、名譽、…