被告人が一定の期間法定の除外事由なくして本件日本刀を所持していた事實が認定される以上、その日本刀の所有權が何人に屬していたとか、或はその間接所有者が何人であつたかというような事情は本件銃砲等所持禁止令違反罪の成立には何等の消長をも來たすものではない。
日本刀の不法所持とその所有關係
銃砲等所持禁止令1條
判旨
刑法上の恐喝罪は、相手方を畏怖させて財物を交付させる行為によって成立し、たとえ行為者が「戯れ」であると主張しても、客観的に畏怖させるに足りる威勢を示して財物を喝取した以上、同罪の成立を妨げない。
問題の所在(論点)
客観的に畏怖させるに足りる威勢を示して財物を交付させた場合において、行為者が「単なる戯れ」であると主張することが、恐喝罪の成否に影響を及ぼすか。
規範
恐喝罪(刑法249条)の構成要件は、①他人の財物を奪取する目的をもって、②相手方を畏怖させるに足りる害悪を告知して脅迫し、③相手方の畏怖に乗じて、④財物の交付(喝取)をさせることである。主観的意図が「戯れ」であっても、客観的に相手を畏怖させ財物を交付させるに足りる態様であれば、不法領得の意思が認められる。
重要事実
被告人は、共謀者らと共に通行人(当時17歳)に対し、着用していた短靴を「貸してくれ、必ず返すから」などと申し向けた。その際、要求に応じなければ危害を加えかねない態度・威勢を示して相手を畏怖させ、短靴1足を交付させた。被告人側は、本件は「単なる戯れ」にすぎないと主張して上告した。
事件番号: 昭和23(れ)345 / 裁判年月日: 昭和23年7月29日 / 結論: 破棄差戻
暴行又は傷害の故意のないということから、ただちに傷害事實を全面的に否定することはできないのであるから、原判決が「被告人の加害行爲が暴行又は傷害の故意を以てなされたと認むべき證據なし」との一點を把えて、結局犯罪の證明なき場合に該當するものとして公訴事實中傷害の點に對し無罪の言渡をしたのは理由不備の違法がある。
あてはめ
被告人の行為は、若年者に対し複数人で威勢を示し、要求に応じなければ危害を加えることを予感させて畏怖させている。この態様は、相手方の自由な意思決定を阻害して財物を交付させるに十分な脅迫にあたる。したがって、被告人が主観的に「戯れ」であったと主張しても、客観的には財物の交付を強いた恐喝行為と評価せざるを得ない。
結論
被告人の所為は到底「単なる戯れ」とはいえず、恐喝罪が成立する。したがって、有罪とした原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
不法領得の意思の認定において、行為者の主観的な弁解(冗談、戯れ等)よりも、客観的な行為態様や被害者の畏怖状況が重視されることを示す。事案において「貸してくれ」という名目であっても、返還の意思が認められず畏怖させて交付させた場合には、恐喝罪が成立する点に注意を要する。
事件番号: 昭和27(あ)6596 / 裁判年月日: 昭和30年10月14日 / 結論: 棄却
債権取立のために執つた手段が、権利行使の方法として社会通念上一般に許容すべきものと認められる程度を逸脱した恐喝手段である場合には、債権額のいかんにかかわらず、右手段により債務者から交付を受けた金員の全額につき恐喝罪が成立する。
事件番号: 昭和24(れ)1471 / 裁判年月日: 昭和24年10月25日 / 結論: 棄却
特に彈丸發射不能の状態にあつたものと認むべき事由資料のない限り「モーゼル小型一二連發拳銃」といえば彈丸發射の機能を有する拳銃であること勿論である。被告人が拳銃として使用する意思があつたかどうか及び被告人所持當時彈丸をも共に所持して居たかどうかは本罪成立については問う所でない、拳銃其のものが發射機能を有するものであれば足…