裁判所法第七條第二號によれば、最高裁判所は、特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告(刑訴應急措置法第一八條)についてのみ裁判權を有するものである。
裁判所法第七條の法意
裁判所法7條,民訴應急措置法7條,刑訴應急措置法18條
判旨
最高裁判所は、日本国憲法施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第18条等により特にその権限に属すると定められたものに限り抗告の裁判権を有し、これに当たらない抗告は不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
最高裁判所が受理し得る抗告の範囲(裁判権の限界)が問題となった。具体的には、高等裁判所がなした上告棄却決定に対する抗告が、最高裁判所の管轄に属するか。
規範
裁判所法第7条第2号に基づき、最高裁判所が抗告について裁判権を有するのは、法律(刑事訴訟法応急措置法第18条等)により特に最高裁判所の権限に属するものと定められた場合に限られる。
重要事実
被告人は、東京高等裁判所が上告趣意書の不提出を理由に上告棄却の決定をしたことに対し、抗告を申し立てた。弁護人は、大審院から東京高等裁判所への機構変更や公判期日の変更等の混乱があり、期間内に趣意書を提出できなかったことには正当な理由があるとして、新憲法の人権尊重の精神に基づき救済を求めた。
事件番号: 昭和29(し)2 / 裁判年月日: 昭和29年2月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、刑事訴訟法433条のように特別の規定がある場合に限り許されるものであり、単なる訴訟法違反を理由とする抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定(控訴棄却決定と推認される)に訴訟法違反があるとして、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。なお、本件に関連して刑事訴…
あてはめ
本件抗告について検討するに、刑事訴訟法応急措置法第18条その他において最高裁判所の権限に属すると規定された特定の抗告には該当しない。裁判所法第7条第2号の規定に照らせば、法律により特別に定められた場合を除き、最高裁判所は抗告の裁判権を有しないといえる。
結論
本件抗告は最高裁判所の裁判権に属しない不適法なものであるため、棄却を免れない。
実務上の射程
最高裁判所の管轄権が法定のものに限定されることを確認した事例。司法試験においては、上訴の適法性や裁判所の管轄を論ずる際、具体的根拠条文(裁判所法、刑訴法)に基づき、裁判権の有無を厳格に判断するための基礎資料となる。
事件番号: 昭和28(す)536 / 裁判年月日: 昭和28年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がなした上告棄却の決定に対しては、抗告をすることが許されないだけでなく、これに代わる異議の申立てをすることも許されない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所がなした上告棄却の決定(刑訴法414条、386条2項)に対し、不服として異議の申立てを行った。なお、具体的な事案の内容については…
事件番号: 昭和23(つ)10 / 裁判年月日: 昭和23年7月23日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「起訴法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
事件番号: 昭和23(つ)7 / 裁判年月日: 昭和23年7月17日 / 結論: 棄却
裁判所法第七條にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法に於て特に最高裁判所の權限に屬するものと定められた抗告をいう。
事件番号: 昭和25(し)65 / 裁判年月日: 昭和25年12月26日 / 結論: 棄却
高等裁判所がした上訴権回復請求却下の決定に対する本件抗告は不適法といわねばならない。