死刑の量刑が維持された事例(市川の一家強盗殺人事件)
判旨
死刑が憲法13条及び36条に違反しないという従来の判例を維持した上で、複数の生命を奪った強盗殺人等の事案において、犯行の態様、結果、被害感情、社会的影響等を総合考慮し、犯行当時少年(18歳から19歳)であったことを踏まえても、死刑の選択はやむを得ないとした。
問題の所在(論点)
死刑の憲法適合性、および犯行当時少年であった被告人に対し、4名の生命を奪った強盗殺人等の罪責を考慮して死刑を選択することが社会通念上相当(量刑不当でない)といえるか。
規範
死刑の選択が許容されるか否かは、犯行の罪質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合に限られる。
重要事実
被告人(当時18歳から19歳)は、暴力団への金策のため、以前強姦したB方に窃盗目的で侵入したが、強盗に転じて在宅中のBの祖母(83歳)を電気コードで絞殺した。その後、帰宅したBの母(36歳)と父(42歳)を柳刃包丁で突き刺して殺害し、金品を強取した。さらに発覚を恐れてBの妹(4歳)も刺殺した。この強盗の最中、Bに対する強姦も行い、その他にも傷害や恐喝等の犯行を繰り返していた。
あてはめ
まず、憲法13条・36条違反の主張は判例に基づき棄却される。次に量刑について、金策目的という動機に酌量の余地はなく、4名の生命を奪った結果は極めて重大である。犯行態様は冷酷、執拗かつ残虐であり、家族を一度に失ったBの被害感情も極めて厳しい。被告人が犯行当時18歳から19歳の少年であったこと、および強盗強姦等の他罪を併発している情状を考慮しても、その罪責は誠に重大である。
事件番号: 平成8(あ)826 / 裁判年月日: 平成13年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かの判断においては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないといえる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、交際相手への送金等の資金に窮し…
結論
本件の各犯行における罪責の重大性に鑑みれば、被告人が少年であった事情を考慮しても、死刑の科刑はやむを得ないものとして是認される。
実務上の射程
永山基準(最判昭58.7.8)の枠組みを踏襲しつつ、少年に対する死刑適用の判断基準を示した事例として重要である。答案上では、死刑選択の際に考慮すべき諸要素を列挙し、特に被害者数、態様の残虐性、動機の身勝手さを強調する際の有力な論拠となる。
事件番号: 昭和62(あ)901 / 裁判年月日: 平成3年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、被害者の感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、罪責が極めて重大であって、刑罰の均衡および一般予防の観点からやむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:生活費に窮した被告人が、知人B方に侵入し、発覚した場…
事件番号: 昭和58(あ)581 / 裁判年月日: 平成2年4月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の態様、動機、殺害方法の執拗性・残虐性、被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の前科、犯行後の情状等、一切の事情を総合的に考慮し、その罪責が極めて重いと認められる場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、農作業中の主婦を強姦目的で襲い、抵抗されたため頸部を強…
事件番号: 平成13(あ)1401 / 裁判年月日: 平成17年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人等の極めて重大な罪を犯した被告人に対し、犯行の態様が冷酷かつ残忍で結果が甚大であり、前科関係や動機にも酌むべき点がない場合、不遇な成育歴等の事情を考慮しても、死刑の選択は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、約半月の間にスナック等の女性経営者計4名を窒息死または失血死させて現金を強奪する…