公職選挙法二五条の規定に基づく訴訟は、選挙人名簿が既に修正されたときは、訴えの利益を失う。
選挙人名簿が既に修正された場合における公職選挙法二五条の規定に基づく訴訟の訴えの利益
公職選挙法25条
判旨
公職選挙法25条に基づく選挙人名簿の修正を求める訴えは、名簿の脱漏または誤載の修正を目的とするものであるから、既に名簿が修正された場合には訴えの利益を失う。
問題の所在(論点)
公職選挙法25条に基づく選挙人名簿の修正を求める訴訟において、訴訟の目的である名簿の修正が既に行われた場合に、なお訴えの利益が認められるか。
規範
行政訴訟における訴えの利益(狭義の訴えの利益)は、当該訴訟によって回復すべき法的利益が存在することを要する。特定の行政処分や状態の是正を目的とする訴訟において、既にその目的が達せられ、または事情の変更によりその是正が不可能となった場合には、訴えの利益は消滅する。
重要事実
上告人らは、公職選挙法25条の規定に基づき、選挙人名簿の脱漏または誤載の修正(登録または抹消)を求めて訴訟を提起した。しかし、訴訟の係属中に、対象となる選挙人名簿については既に修正(登録または抹消)が完了した状態となっていた。
事件番号: 昭和58(行ツ)32 / 裁判年月日: 昭和58年12月1日 / 結論: 棄却
住民基本台帳法二二条の規定による転入の届出をして引き続き三か月以上当該市町村の住民基本台帳に記録されている者であつても、現実に当該市町村の区域内に住所を移して引き続き三か月以上右区域内に住所を有していないときは、当該市町村の選挙人名簿の被登録資格を取得しない。
あてはめ
公職選挙法25条に基づく訴訟の目的は、選挙人名簿の脱漏または誤載を正し、適正な登録状態を確保することにある。本件においては、選挙人名簿は既に修正がなされており、訴訟を通じて実現すべき目的は既に達成されているといえる。したがって、これ以上の裁判所による判断を求める法的必要性は失われたと解される。
結論
選挙人名簿が既に修正されたときは、公職選挙法25条に基づく訴訟は訴えの利益を失う。したがって、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
本判決は、選挙人名簿の修正訴訟という特殊な訴訟形態における訴えの利益の判断を示したものである。答案上は、行政事件訴訟法9条1項後段の「回復すべき法律上の利益」を論じる際、目的達成により訴えの利益が消滅する典型例(事情変更による消滅)として援用できる。
事件番号: 昭和26(オ)870 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】補充選挙人名簿の効力が期間経過により失われた場合、当該名簿の登録に関する決定の取消しを求める訴えの利益は消滅する。 第1 事案の概要:上告人は、昭和26年4月執行の長崎県議会議員選挙に際して調製された補充選挙人名簿に登録しない旨の決定について、その取消しを求めて提訴した。公職選挙法28条および25…
事件番号: 昭和41(行ツ)75 / 裁判年月日: 昭和42年1月31日 / 結論: 棄却
記載事項に不備不実がある申請書によつた補充選挙人名簿登録申請でも、それが申請者の申請意思の表示と認めうるものであるならば無効と解すべきではなく、そのような申請に基づき調製された補充選挙人名簿でも、有効である。