記載事項に不備不実がある申請書によつた補充選挙人名簿登録申請でも、それが申請者の申請意思の表示と認めうるものであるならば無効と解すべきではなく、そのような申請に基づき調製された補充選挙人名簿でも、有効である。
記載事項に不備不実のある申請書に基づき調製された補充選挙人名簿の効力
公職選挙法26条
判旨
補充選挙人名簿の登録申請書に不備・不実があっても、申請意思が認められる限り申請は無効ではなく、法定の縦覧手続を経て確定した名簿は、内容に誤載があっても有効に成立する。
問題の所在(論点)
補充選挙人名簿の登録申請書の不備や資格審査の不備が、選挙人名簿の効力、ひいては選挙の効力に影響を及ぼすか。特に、確定した名簿の瑕疵が選挙無効の原因となるかが問題となる。
規範
1. 補充選挙人名簿の登録申請につき、記載事項に不備や不実がある場合であっても、申請者の申請意思の表示と認められるものであれば、その申請は直ちに無効とはならない。 2. 補充選挙人名簿は、法定の縦覧手続を経て確定した以上、たとえ資格審査の過程に瑕疵があり名簿の内容に誤載があったとしても、名簿自体は有効に成立する。
重要事実
本件町議会議員選挙に使用された補充選挙人名簿において、登録申請書に不備や不実の記載があった。上告人は、選挙管理委員会による登録資格の審査が行われておらず名簿の調製手続に違法があること、および選挙事務従事者による投票の偽造・すり替え等の不正行為があったことを理由に、本件選挙の無効を主張した。
事件番号: 昭和52(行ツ)94 / 裁判年月日: 昭和53年7月10日 / 結論: 破棄差戻
町選挙管理委員会が公職選挙法二二条二項の規定に基づく選挙人名簿の登録の際に調査の疎漏により被登録資格の確認を得られない者を登録した瑕疵は、同法二〇五条一項所定の選挙無効の原因である選挙の規定に違反するものにあたらない。
あてはめ
1. 補充選挙人名簿は申請主義を採るが、資格審査は基本選挙人名簿と同様に選管の職権により行われる。申請者の申請意思が認められれば、形式的な不備があっても申請を無効とせず、これに基づき調製された名簿は適法である。 2. 本件では、申請者355名中316名のみが登録されている事実から、選管による一定の資格審査が行われていたことが推認される。仮に資格審査が不十分であったとしても、法定の縦覧手続を経て名簿が確定した以上、名簿そのものの有効性は否定されない。
結論
補充選挙人名簿の有効性を前提とする原審の判断は正当であり、選挙を無効とすべき事由は認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
選挙無効訴訟において、選挙人名簿の確定後の効力を論じる際に引用すべき判例である。名簿確定による瑕疵の治癒あるいは不可争的な効力を肯定する趣旨として活用できる。また、申請書の形式的不備と実質的な申請意思の関係についても参考となる。
事件番号: 昭和42(行ツ)43 / 裁判年月日: 昭和42年9月28日 / 結論: 棄却
選挙人名簿調製機関が選挙人の補充選挙人名簿の登録申請を妨げた違法は、名簿の脱漏として、法定の選挙人名簿修正争訟によつて争うべきであり、選挙の無効の理由となるものではない。
事件番号: 昭和33(オ)405 / 裁判年月日: 昭和33年8月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】補充選挙人名簿の調製手続に重大な違法があり同名簿が無効となる場合、たとえ基本選挙人名簿が有効であっても、その選挙区における選挙は全部無効となる。また、この違法は選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるものとして、公職選挙法205条1項に基づき選挙無効の原因となる。 第1 事案の概要:町議会議員選挙にお…
事件番号: 昭和44(行ツ)2 / 裁判年月日: 昭和45年7月16日 / 結論: 棄却
選挙人にあらかじめ配布された入場券が住所不明として返戻された場合において、当該選挙人であるとして入場券を持参しない者が投票に来たときは、投票事務従事者において「その理由をただし」、また、本人であることの確認には生年月日の対照をもつてすることが、選挙事務の取扱いとして至当というべきであるが、これを欠いたからといつて、その…