選挙人名簿に関する市町村選挙管理委員会の異議決定に対して訴訟を提起することができるのは、異議申立人または当該脱漏、誤載の関係人に限る。
選挙人名簿に関する市町村選挙管理委員会の異議決定に対する訴の原告
公職選挙法24条
判旨
公職選挙法24条にいう「関係人」とは、選挙人全般を指すものではなく、名簿の脱漏または誤載に直接関わる当事者を指す。したがって、単なる選挙人や選挙管理委員会の委員であるという立場だけでは、同条に基づく訴訟提起の原告適格を有しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法24条に基づく名簿の修正に関する訴訟において、単なる「選挙人」や「選挙管理委員会の委員」が、同条に規定される「関係人」として原告適格を有するか。
規範
公職選挙法24条の「関係人」は、同法23条2項の通知対象となる「関係人」を受けて規定されたものである。この「関係人」とは、広く選挙人全般を指すのではなく、当該名簿の脱漏または誤載に直接関係する者を指すと解すべきである。他の選挙争訟(同法203条等)が「不服がある者」と広く規定していることと比較しても、限定的に解釈されるべきである。
重要事実
上告人は、基本選挙人名簿の修正に関する決定に対し、公職選挙法24条に基づき訴訟を提起した。上告人は、自身が当該選挙区の選挙人であること、および選挙管理委員会の委員であることを理由に、同条の「関係人」に該当し原告適格を有すると主張した。原審は、上告人は異議申立人でも本件名簿の脱漏・誤載に直接関わる関係人でもないとして、訴えを却下したため、上告人がこれを不服として上告した。
あてはめ
公職選挙法23条2項は、名簿修正の決定時に通知すべき対象を「申立人及び関係人」としているが、この通知は名簿の正確性を確保するために直接の利害を有する者に対してなされるものである。上告人は単に選挙人であるというに過ぎず、名簿の脱漏・誤載に直接関わる当事者ではない。また、選挙管理委員会の委員であるという公的な立場も、私人が訴訟を提起する根拠となる「関係人」の概念には含まれない。したがって、上告人は同法24条の「関係人」には当たらないといえる。
結論
上告人は公職選挙法24条の「関係人」には該当せず、本訴を提起することはできない。したがって、原告適格を否定した原判決は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
行政訴訟における客観訴訟(民衆訴訟)の原告適格を限定的に解釈した事例として重要である。法律が「不服がある者」という広範な表現を用いず「関係人」という限定的な用語を用いている場合には、その文理および先行規定(通知規定等)との整合性から、原告適格の範囲が特定事象への直接的関与者に絞られることを示唆している。
事件番号: 昭和42(行ツ)23 / 裁判年月日: 昭和42年7月20日 / 結論: 棄却
土地改良区の総代選挙において、立候補届出が受理された後に、当該候補者に被選挙権がないことが判明したとして、選挙の当日投票所に掲げた候補者氏名の掲示中に同人の氏名を表示しないで選挙を執行したことは、違法であり、それが選挙の結果に異動を及ぼすおそれの認められるかぎり、右選挙は無効である。
事件番号: 昭和38(オ)1081 / 裁判年月日: 昭和39年2月26日 / 結論: 棄却
一 公職選挙法第二〇四条によつて、訴訟を提起できる選挙人は、その属する選挙区の選挙人に限られる。 二 所属選挙区以外の選挙区の選挙の効力について訴訟の提起をゆるさないと解しても、憲法第三二条に違反しない。