公職選挙法第五三条で「投票所の入口を鎖し」とあるのは、定刻までに投票所に到着した者とその後に到着した者とを区別するためであつて、厳格に投票所の入口を鎖さなければならない趣旨ではない。
公職選挙法第五三条の趣旨
公職選挙法53条
判旨
公職選挙法40条および53条に基づく投票所の閉鎖規定は、定刻までに到着した者とそうでない者を厳格に区別する趣旨であり、この区分措置を講じずに投票させた場合は選挙無効の原因となる違法を構成する。
問題の所在(論点)
公職選挙法40条の開閉時間規定および同法53条の閉鎖規定の性質、ならびに、定刻後の到着者を区別せずに投票させたことが選挙の効力に及ぼす影響が問題となった。
規範
公職選挙法40条(投票所の開閉時間)は訓示規定ではなく、同法53条と相まって、定刻までに投票所に到着した者には投票を認め、その後に到着した者には投票をさせないという厳格な区分を求める規定である。同条にいう「入口を鎖し」とは、物理的な施設の入口を閉鎖することのみを指すのではなく、定刻後の到着者を排除するための実効的な措置を講じることを意味する。
重要事実
本件選挙において、第五投票所では投票終了時刻を過ぎた後も、西側および北側の門が閉鎖されず、定刻までに到着した者と遅れて到着した者を区別する措置が何ら講じられていなかった。その結果、本来投票資格のない定刻後に到着した者までが投票を行うに至った。
あてはめ
公職選挙法53条の趣旨は、投票時間の公平性を確保するため、時刻を基準として投票権行使の可否を峻別することにある。本件では、物理的な門の閉鎖がなされなかっただけでなく、定刻までに到着した者とそれ以降に到着した者を区別する代替的な措置も一切取られていない。このような状況下で遅刻者にまで投票を許したことは、同条の趣旨に反する重大な手続違背であるといえる。
結論
本件選挙において、投票時間の厳格な遵守および有権者の区分を怠ったことは違法であり、選挙を無効とした原審の判断は正当である。
実務上の射程
選挙無効訴訟において、投票時間の遵守が訓示規定ではなく効力規定的な性質を持つことを示す。投票所の物理的な「入口」の定義に固執するのではなく、時間的制限による選別という実質的な措置の有無を重視する判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和32(オ)247 / 裁判年月日: 昭和32年12月17日 / 結論: 棄却
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投票なかばで投票箱を開き投票を取り出した違法は、常に選挙の結果に異動を及ぼす虞があり、選挙無効の原因となる。