一 民訴規則六一条の規定は憲法三二条に違反しない。 二 民訴規則六一条の定める抗告理由書提出期間の遵守の有無を到達主義によつて決しても憲法三二条に違反しない。
一 民訴規則六一条と憲法三二条 二 特例抗告の理由書提出期間の遵守の有無を到達主義によつて決することと憲法三二条
憲法32条,民訴規則61条
判旨
特別抗告の理由書提出期間を14日とする民事訴訟規則の規定、およびその期間遵守の有無を到達主義によって決することは、憲法32条の裁判を受ける権利に違反しない。
問題の所在(論点)
特別抗告理由書の提出期間を14日と制限する民事訴訟規則の規定、および同期間の遵守を到達主義により判断することが、憲法32条に違反するか。
規範
1. 訴訟手続の迅速かつ公正な進行を確保するため、最高裁判所規則により上訴理由書の提出期間を定めることは、合理的な範囲内であれば立法府から委ねられた権限に属し、憲法32条に反しない。 2. 期間遵守の判定について、特段の定めがない限り、書面が裁判所に到達した時点を基準とする「到達主義」を採用することも、手続の明確性と公平性の観点から憲法上許容される。
重要事実
抗告人は特別抗告を提起したが、特別抗告理由書の提出が、民事訴訟規則(当時61条、現315条・336条2項)の定める「抗告受理通知書の送達を受けた日から14日」の期間を経過していた。抗告人は、当該期間制限および期間遵守を到達主義によって判断することが、憲法32条(裁判を受ける権利)に違反すると主張して特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和38(し)33 / 裁判年月日: 昭和39年3月12日 / 結論: 棄却
刑訴法第二二条は、憲法第三七条第一項に違反しない。
あてはめ
1. 民事訴訟規則が定める14日の提出期間は、上訴審の審理を遅滞なく進行させるために必要かつ合理的な期間といえる。憲法32条は、適正な手続による裁判を保障するが、無制限に訴訟追行を認めるものではなく、規則による合理的制限は許容される。 2. 期間遵守の判定について、発信主義ではなく到達主義によることは、裁判所における受理の事実を明確にし、訴訟手続の安定を図る上で合理的な根拠がある。したがって、本件において期限を徒過した以上、適法な理由書提出があったとは認められない。
結論
特別抗告理由書の提出期間制限および到達主義による判定は合憲である。したがって、期間を徒過した本件抗告は棄却を免れない。
実務上の射程
本判決は、訴訟手続における期間制限の合憲性を確認したものである。答案上は、期間徒過による不適法却下の妥当性を論じる際や、民事訴訟規則による手続的制約が憲法32条の保障の範囲内にあることを論証する際の根拠として活用できる。特に「14日」という期間設定が適正手続の観点から合理的であるとする文脈で重要となる。
事件番号: 昭和47(ク)216 / 裁判年月日: 昭和47年9月7日 / 結論: 棄却
忌避を申し立てられた裁判官が退官したことを理由とし、忌避申立を利益がないとして却下した決定は、申立の実質的理由につき判断を示さなかつたからといつて、憲法三二条に違反するものではない。
事件番号: 昭和41(ク)122 / 裁判年月日: 昭和41年4月6日 / 結論: 却下
原決定のいかなる点がいかなる理由で憲法に違反するのか具体的に主張のない特別抗告は、不適法である。
事件番号: 昭和47(ク)334 / 裁判年月日: 昭和47年11月29日 / 結論: 却下
書留郵便に付して送達した決定に対する特別抗告の受理手続において、原裁判所が、抗告申立が、右郵便の発送から五日を経過していることを理由にこれを却下したのは正当であつて、右却下が憲法三二条に違反するとの上告理由はその前提を欠く。
事件番号: 昭和34(ク)321 / 裁判年月日: 昭和34年10月15日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判所の権限や審級の定めは原則として立法政策に委ねられており、最高裁判所への抗告権を訴訟法上特定の事由に限定する裁判所法7条2号等は、憲法32条、76条1項、77条1項に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人らは、最高裁判所の裁判権に関する規定である裁判所法7条2号が憲法76条1項および77条1項…