借地法九条の二第一項の規定は憲法二九条に違反せず、また、借地法九条の二第一項、一四条の二、一四条の三の各規定は、憲法三二条、八二条に違反しない。
借地法九条の二第一項、一四条の二、一四条の三と合憲性
憲法29条,憲法32条,憲法82条,借地法9条ノ2第1項,借地法14条ノ2,借地法14条ノ3
判旨
借地権譲渡の代諾許可を定める借地法9条の2第1項は憲法29条に違反せず、同条に基づく非訟事件の裁判手続も憲法32条及び82条に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 借地権譲渡の代諾許可制度(旧借地法9条の2第1項、現借地借家法19条1項)は、地主の財産権(憲法29条)を侵害するか。 2. 借地非訟事件の手続規定は、裁判を受ける権利(憲法32条)や法廷の公開(憲法82条)に違反するか。
規範
1. 財産権の制限(憲法29条):公共の福祉による財産権の合理的な制限を定めた規定は憲法に違反しない。 2. 裁判の公開・権利の保障(憲法32条・82条):本質的に非訟事件の性質を有する裁判については、対審及び判決の公開を原則とする憲法の規定は必ずしも適用されない。
重要事実
抗告人らは、借地法9条の2第1項に基づく借地権譲渡の許可(代諾許可)の規定が、地主の財産権を侵害し、かつ裁判の公開等を保障しない手続でなされる点が憲法に違反すると主張し、特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和49(ク)236 / 裁判年月日: 昭和49年9月27日 / 結論: 棄却
借地法九条ノ三第一項による競落建物の敷地賃借権譲渡許可の裁判において賃借権の存否を判断しても、右裁判は、憲法三二条、八二条に違反しない。
あてはめ
1. 借地法9条の2第1項の規定は、借地権の譲渡を合理的な範囲で認めるものであり、公共の福祉による財産権の制限として合憲とした判例の趣旨に照らし、憲法29条に違反しない。 2. 借地権譲渡の許可の裁判は、私法上の形成的な裁判であり、その本質は非訟事件に属する。したがって、純然たる民事訴訟のような対審・公開の原則は憲法上要求されず、本件規定は憲法32条、82条に違反しない。
結論
借地法9条の2第1項等は憲法29条、32条、82条に違反しないため、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
現行の借地借家法19条(借地条件の変更等の裁判)の合憲性を支える基礎的な判例である。借地非訟が「純然たる訴訟事件」ではなく「非訟事件」であるため、対審構造を前提とした憲法82条等の厳格な適用を受けないという法理を確認する際に用いる。
事件番号: 昭和26(ク)13 / 裁判年月日: 昭和26年9月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定に憲法違反の判断が含まれる場合に限られ、単なる民事訴訟法規の解釈の誤りを主張するものは実質的な違憲の主張に当たらないため、不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、高等裁判所が最初の抗告審としてなした決定に対し、民事訴訟法409条ノ4(旧法)の準用による異議の申立…
事件番号: 昭和48(ク)105 / 裁判年月日: 昭和49年9月26日 / 結論: 棄却
借地法八条ノ二第二項の借地条件変更に関する裁判は、憲法三二条、八二条に違反しない。
事件番号: 昭和25(ク)149 / 裁判年月日: 昭和26年5月9日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への抗告(特別抗告)は、原決定に憲法違反の判断が含まれる場合に限り認められるものであり、単なる法令違反の主張では適法な抗告理由とならない。 第1 事案の概要:抗告人は、下級審の決定に対し、「原決定は憲法其の他法令に違反してなされております」と主張して最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、…
事件番号: 昭和26(ク)50 / 裁判年月日: 昭和26年5月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、旧民事訴訟法419条の2(現行330条の特別抗告に相当)に定められた、原決定の憲法適合性に関する判断を不当とする場合に限られる。最高裁判所に対する抗告において、通常の上告理由(旧413条)を準用することはできない。 第1 事案の概要:抗告人が最…