借地法九条ノ三第一項による競落建物の敷地賃借権譲渡許可の裁判において賃借権の存否を判断しても、右裁判は、憲法三二条、八二条に違反しない。
競落建物の敷地賃借権譲渡許可の裁判において賃借権の存否を判断することと憲法三二条、八二条
憲法32条,憲法82条,借地法9条ノ3第1項
判旨
借地非訟事件手続において、前提となる賃借権の存否を裁判所が自ら判断して許可の裁判をすることは許容され、憲法32条及び82条に違反しない。
問題の所在(論点)
借地非訟事件の前提となる権利関係の存否を、対審公開原則の及ばない非訟事件手続において裁判所が判断することの許否、および憲法32条・82条への適合性。
規範
借地非訟事件手続において前提となる法律関係(賃借権の存否等)に争いがある場合であっても、裁判所は民事訴訟による判決の確定を待つことなく、自らその存否を判断して裁判をすることができる。ただし、この非訟手続における判断には既判力が生じないため、当事者は別途訴訟で確定を求めることが可能であり、訴訟で前提事項が否定されれば非訟の裁判もその限度で効力を失う。
重要事実
抗告人は、借地法9条の3第1項(現行の借地借家法20条1項参照)に基づき、競落した建物の敷地賃借権譲渡許可の申立てを行った。これに対し、前提となる賃借権の存否に争いがある中、非訟事件手続において裁判所がその存否を判断して許可の裁判をすることの是非、および、かかる手続が裁判を受ける権利(憲法32条)や対審公開原則(同82条)に抵触しないかが争点となった。
事件番号: 昭和56(ク)69 / 裁判年月日: 昭和56年3月26日 / 結論: 棄却
借地法九条の二第一項の規定は憲法二九条に違反せず、また、借地法九条の二第一項、一四条の二、一四条の三の各規定は、憲法三二条、八二条に違反しない。
あてはめ
借地非訟における賃借権の存否の判断は、あくまで許可の裁判を行うための前提事項としての判断に留まる。非訟手続での判断には既判力が認められないため、不服がある当事者は別途、対審公開原則が確保された通常の民事訴訟によって権利自体の確定を求める途が閉ざされていない。したがって、非訟手続内で便宜的に前提事項を判断したとしても、当事者の裁判を受ける権利を侵害するものではなく、憲法の要請に反するものではないといえる。
結論
非訟事件手続において前提となる権利関係を判断して許可の裁判を行うことは許され、憲法32条および82条に違反しない。
実務上の射程
借地借家法上の非訟事件(20条等の許可裁判)全般に射程が及ぶ。答案上は、前提事項の存否に争いがある場合の裁判所の処置として「訴訟による確定を待つ必要はない」旨の根拠として利用する。また、非訟の判断には既判力がないことの理由付けとしても重要である。
事件番号: 昭和48(ク)105 / 裁判年月日: 昭和49年9月26日 / 結論: 棄却
借地法八条ノ二第二項の借地条件変更に関する裁判は、憲法三二条、八二条に違反しない。
事件番号: 昭和50(ク)36 / 裁判年月日: 昭和50年7月11日 / 結論: 棄却
借地法八条ノ二は、憲法二九条に違反しない。
事件番号: 昭和26(ク)13 / 裁判年月日: 昭和26年9月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、原決定に憲法違反の判断が含まれる場合に限られ、単なる民事訴訟法規の解釈の誤りを主張するものは実質的な違憲の主張に当たらないため、不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、高等裁判所が最初の抗告審としてなした決定に対し、民事訴訟法409条ノ4(旧法)の準用による異議の申立…
事件番号: 昭和46(ク)419 / 裁判年月日: 昭和46年12月21日 / 結論: 棄却
強制競売における競落許可決定およびその抗告審の決定をなすにつき、口頭弁論または当事者の審尋を経ないでも、憲法三二条、八二条の規定に違反するものではない。