債権の譲受人と同一債権に対し債権差押命令及び転付命令を得た者との間の優劣は、確定日付ある通知が債務者に到達した日時又は確定日付ある債務者の承諾の日時と債権差押命令が第三債務者たる右債務者に送達された日時の先後によつて決すべきである。
債権の譲受人と同一債権に対し債権差押命令及び転付命令を得た者との間の優劣の基準
民法467条,民訴法598条(昭和54年法律第4号による改正前のもの)
判旨
債権譲受人と同一債権の差押・転付債権者の間の優劣は、確定日付のある譲渡通知の到達(または承諾)の日時と、差押命令の送達日時の先後によって決定される。
問題の所在(論点)
同一の債権について、債権譲受人と差押・転付債権者が競合する場合、その優劣を決する基準は何か。特に、民法467条2項の「確定日付のある通知・承諾」と、民事執行法上の差押命令の送達との先後関係をいかに解すべきかが問題となる。
規範
債権譲受人と同一債権に対して差押・転付命令の執行をした者との間の優劣は、民法467条2項の対抗要件を備えた日時、すなわち「確定日付のある譲渡通知が債務者に到達した日時(または確定日付のある債務者の承諾の日時)」と、「債権差押命令が第三債務者に送達された日時」の先後によって決すべきである。
重要事実
債権譲渡が行われ、譲受人が確定日付のある譲渡通知を債務者に送達した。一方で、同一の債権に対して第三者が債権差押・転付命令を得て、その命令が第三債務者(債務者)に送達された。これら両者のうち、いずれが優先されるかが争われた。なお、具体的な到達・送達の時刻等の詳細は判決文からは不明である。
あてはめ
債権譲渡の対抗要件(民法467条2項)と仮差押・差押の効力発生時期の優劣については、既に仮差押に関する判例(最決昭49・3・7)が「到達・送達の先後」によるべきことを示している。本件のような債権差押・転付命令の場合も、第三債務者に対する法的拘束力が発生する時点を基準に比較すべきであるという点では、仮差押の場合と法理において何ら異ならない。したがって、確定日付ある通知の「到達時」と差押命令の「送達時」を客観的に比較して、時間的に先に具備した方が優先すると解される。
結論
債権譲受人と差押・転付債権者の優劣は、確定日付のある通知の到達日時と差押命令の送達日時の先後により決定される。
実務上の射程
債権譲渡の二重譲渡のみならず、差押・仮差押が競合する場合の一般原則(到達時説)を確認した判例である。司法試験においては、債権譲渡の対抗問題で差押債権者が登場した際、単に「確定日付の有無」だけでなく「到達と送達の時刻の先後」に言及するために必須の規範である。
事件番号: 昭和53(オ)1199 / 裁判年月日: 昭和55年1月11日 / 結論: 破棄自判
指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各譲受人は、債務者に対しそれぞれの譲受債権全額の弁済を請求することができ、譲受人の一人から弁済の請求を受けた債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由が存在しない限り、弁済の責を免れることができない。
事件番号: 昭和41(オ)1236 / 裁判年月日: 昭和45年11月6日 / 結論: 破棄自判
(省略)
事件番号: 昭和53(オ)383 / 裁判年月日: 昭和53年7月18日 / 結論: 棄却
同一債権が重複して譲渡された場合において、確定日付が同一日付である複数の債権譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各譲受人は、後順位の譲受人に対する関係においては先順位の各譲受人が等しく債権者たる地位を有効に取得したものとして対抗することができる。