一、指名債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互の問の優劣は、確定日付ある通知が債務者に到達した日時又は確定日付ある債務者の承諾の日時の先後によつて決すべきである。 二、債権者が、債権譲渡証書に確定日付を受け、これを即日短時間内に債務者に交付したときは、民法四六七条二項所定の確定日付ある通知があつたものと認めることができる。
一、指名債権の二重譲渡と優劣の基準 二、民法四六七条二項の確定日付ある通知と認められた事例
民法467条
判旨
債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互の間の優劣は、通知または承諾に付された確定日付の先後ではなく、確定日付のある通知が債務者に到達した日時(または確定日付のある承諾の日時)の先後によって決すべきである。この理は、債権譲受人と仮差押債権者との間の優劣を決する場合にも同様に適用される。
問題の所在(論点)
同一の債権について、確定日付のある譲渡通知の「到達」と、仮差押命令の「送達」がいずれも同日になされた場合、民法467条2項に基づく第三者相互間の優劣はどのように決定されるべきか。
規範
民法467条2項が確定日付ある証書を要求する趣旨は、債務者と譲渡人が通謀して通知・承諾の日時を遡らせ、第三者の権利を害することを防止する点にある。対抗要件制度の根幹は、債務者への通知等を通じた債権の帰属の公示にある。したがって、第三者に対する対抗力の優劣は、確定日付の「日付」そのものの先後ではなく、確定日付のある通知が債務者に「到達した時刻」の先後によって決定される。
重要事実
債権者Dは、東京都(第三債務者)に対する債権を上告人に譲渡し、昭和44年2月14日付の確定日付を得た債権譲渡証書を、同日午後3時頃に東京都へ持参・交付した。一方で被上告人は、同債権に対し仮差押命令を得て、同日午後4時5分頃に仮差押命令が東京都に送達された。両者の対抗要件具備はいずれも同日であったが、時刻に前後があった。
あてはめ
本件では、上告人による確定日付のある譲渡通知は、昭和44年2月14日午後3時頃に第三債務者に到達している。これに対し、被上告人による仮差押命令の送達は、同日午後4時5分頃である。通知の到達が仮差押の送達よりも先になされている以上、確定日付の「日付」が同一であっても、到達時刻の先後により、上告人は債権の譲受を被上告人に対抗することができる。よって、上告人が優先する。
結論
債権譲受人と差押債権者の優劣は、確定日付のある通知の到達時刻の先後により決する。本件では譲渡通知が先行しているため、仮差押の執行は許されない。
実務上の射程
二重譲渡や差押えとの競合場面において、確定日付はあくまで遡及改ざん防止の要件に過ぎず、対抗力の効力発生は「到達」時であることを明確にした。答案では、日付が同一であっても「時刻」の先後で決することを明示した上で、時刻が不明な場合(同時到達として扱う法理)への布石として用いる。
事件番号: 昭和57(オ)1408 / 裁判年月日: 昭和62年11月10日 / 結論: 棄却
一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によつて占有権を取得する旨の合意があり、譲渡担保権設定者がその構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、譲渡担保権者は右譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至り、右対…