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上告審において民訴法一九八条二項の損害賠償を命じた事例
民訴法198条2項
判旨
債権が差し押さえられた場合、第三債務者は差押後に取得したものでない限り、自働債権と受働債権の弁済期の前後を問わず、相殺適状に達すれば差押債権者に対抗できる。また、特定の事情により期限の利益を喪失させる約款は、差押債権者に対しても効力を有する。
問題の所在(論点)
民法511条の解釈において、差押後に相殺適状となった場合、自働債権の弁済期が受働債権の弁済期より後に到来するときであっても、第三債務者は相殺を対抗できるか。また、期限の利益喪失約款の効力を差押債権者に対抗できるか。
規範
債権が差し押さえられた際、第三債務者が差押前に取得した反対債権(自働債権)を有する場合、両債権の弁済期の前後を問わず、差押後であっても相殺適状に達すれば相殺をもって差押債権者に対抗できる(無制限説)。また、債務者の信用悪化等を条件とする期限の利益喪失約款は、差押債権者に対しても有効である。
重要事実
上告人は、訴外会社に対して貸付金債権を有しており、これには債務者が強制執行等を受けた場合に当然に期限の利益を失う約款が付されていた。訴外会社は、上告人に対して預託金返還請求権を有していた。昭和38年4月、第三者E産業が預託金債権を差し押さえた。その後、被上告人らも転付命令等を得たが、上告人は約款に基づき期限の利益を失った貸付金債権を自働債権、不渡りにより弁済期が到来した預託金債権を受働債権として相殺を主張した。
あてはめ
上告人が有する貸付金債権は、差押(昭和38年4月)より前の37年9月に取得されたものである。期限の利益喪失約款は、債権差押えという客観的事情の発生により差押債権者に対しても効力を生じるため、貸付金債権の弁済期はE産業の差押時に到来したといえる。一方、受働債権である預託金債権もその後の不渡り処分により弁済期が到来した。両債権は昭和38年5月31日に相殺適状に達しており、弁済期の前後に関わらず上告人は相殺を対抗できる。
結論
上告人は相殺をもって被上告人らに対抗することができ、被上告人らの預託金返還請求は認められない。
実務上の射程
民法511条1項の解釈に関するリーディングケースであり、実務上の「無制限説」を確立した判例である。答案上は、差押えと相殺の優劣が問題となる場面で、第三債務者の担保的期待を保護する根拠として本規範を提示する。改正民法511条はこの判例理論を明文化したものである。
事件番号: 昭和46(オ)457 / 裁判年月日: 昭和51年11月25日 / 結論: 棄却
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