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園児の減少を理由与る保育園の保母に対する整理解雇が解雇権の濫用にあたるとされた事例
労働基準法89条
判旨
人員整理を目的とする解雇において、労働者への事情説明や協力要請等の手続を欠き、希望退職者の募集も行わずに突如なされた指名解雇は、解雇権の濫用として無効である。
問題の所在(論点)
経営上の理由による人員整理としての解雇(整理解雇)が、適正な手続や回避努力を欠く場合に、解雇権の濫用として無効となるか。
規範
解雇が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権の濫用として無効となる(労働契約法16条参照)。特に人員整理を目的とする整理解雇においては、人員削減の必要性、解雇回避努力の有無、人選の妥当性、手続の妥当性といった諸要素を総合考慮して、その正当性を判断すべきである。
重要事実
上告人(幼稚園経営者)は、園児減少に対応するため保母2名の人員整理を決定した。その際、事前に職員に対して人員整理の必要性等の事情を説明して協力を求める努力を一切せず、また希望退職者の募集という解雇回避措置も講じなかった。その上で、解雇日のわずか6日前に、被上告人ら特定の保母2名を指名して突如解雇を通告した。
事件番号: 昭和38(オ)1098 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: その他
一、公共企業体等労働関係法第一八条の法意は、同法第一七条違反の行為をした職員について、法の定める職員の身分保障に関する規定にかかわらず、解雇することができるとするにあり、解雇するかどうか、その他どのような措置をとるかについては、職員のした違反行為の態様・程度に応じ、公共企業体等の合理的な裁量に委ねる趣旨と解するのが相当…
あてはめ
本件では、人員整理の必要性があったとしても、上告人は職員への説明や協力要請を全く行っておらず、手続的妥当性を著しく欠いている。また、希望退職者の募集など、解雇を回避するための手段も尽くされていない。このような状況下で、解雇直前に突如として指名解雇を強行したことは、労使間の信義則に反するものといえる。したがって、本件解雇は社会通念上相当なものとは認められず、解雇権を濫用したものと解される。
結論
本件解雇は解雇権の濫用にあたり、無効である。
実務上の射程
整理解雇の4要素(4要件)のうち、特に「解雇回避努力」と「手続の妥当性」の重要性を示した事例である。実務上、経営不振等の理由があっても、十分な説明や希望退職の募集を欠いた一方的な指名解雇は無効となる可能性が極めて高く、答案上もこれらの要素を事実から拾って評価することが求められる。
事件番号: 昭和43(オ)499 / 裁判年月日: 昭和50年4月25日 / 結論: 破棄差戻
労働組合から除名された労働者に対し使用者がユニオン・ショップ協定に基づく労働組合に対する義務の履行として行う解雇は、右除名が無効な場合には、他に解雇の合理性を裏づける特段の事由がないかぎり、無効である。
事件番号: 昭和42(オ)1005 / 裁判年月日: 昭和43年4月9日 / 結論: 棄却
不当労働行為にあたる解雇は無効である。