(省略) (補足意見がある。)
争議行為の際の暴力的行為及びストライキ参加のための欠勤を理由とする国鉄職員に対する懲戒免職が懲戒権の濫用にあたらないとされた事例
公共企業体等労働関係法17条1項,公共企業体等労働関係法18条,日本国有鉄道法31条
判旨
公共企業体等労働関係法17条1項の争議行為禁止規定は憲法28条に違反せず、同条に違反する争議行為を超え暴力等を伴う行為に及んだ労働者に対する懲戒免職処分は、企業秩序維持の見地から懲戒権の濫用にあたらない。
問題の所在(論点)
公共企業体等労働関係法17条1項の争議行為禁止規定の憲法適合性、および暴力的な争議行為等を理由とする懲戒免職処分が懲戒権の濫用(日本国有鉄道法31条)にあたるか。
規範
公共企業体等の職員による争議行為を禁止する規定は憲法28条に違反しない。また、使用者が行う懲戒処分が、当該行為の態様、程度、企業秩序に及ぼす影響、及び過去の処分歴等に照らし、社会通念上相当と認められる場合には、懲戒権の濫用にはあたらない。
重要事実
日本国有鉄道(当時)の職員であった上告人は、公共企業体等労働関係法17条1項により禁止されている争議行為に関連し、暴力等を伴う行為に及んだ。上告人には以前にも処分歴があった。これに対し、被上告人(日本国有鉄道)は日本国有鉄道法31条に基づき、上告人を懲戒免職処分とした。上告人は、争議行為の禁止規定の違憲性、および本件免職処分が懲戒権の濫用にあたることを主張して争った。
事件番号: 昭和62(行ツ)119 / 裁判年月日: 平成元年1月17日 / 結論: 棄却
地方公務員法二八条四項、一六条二号は、憲法一三条、一四条一項に違反しない。
あてはめ
まず、公労法17条1項の合憲性については先行判例(全農林警職法事件判決等)の趣旨に照らし、憲法28条に違反しない。次に、懲戒免職処分の妥当性について検討するに、上告人の行為は単なる争議行為の枠を超え、暴力等を伴うものであった。このような行為は「業務の正常な運営を阻害する一切の行為」の範疇をも超えるものであり、企業秩序維持の見地から到底容認できない。さらに、上告人には過去の処分歴という不利益事情も存在する。したがって、本件処分は客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる。
結論
本件懲戒免職処分は懲戒権の濫用にあたらず、有効である。上告を棄却する。
実務上の射程
公共企業体職員の争議行為禁止の合憲性を前提としつつ、懲戒処分の有効性判断において「暴力の行使」や「過去の処分歴」を重要な考慮要素とする。公労法18条による解雇と懲戒免職の関係性については補足意見で触れられているが、暴力等の具体的悪性が強い事案では懲戒免職の選択が肯定されやすいことを示しており、公務員・公共企業体職員の懲戒処分事案の起案で活用できる。
事件番号: 昭和53(オ)828 / 裁判年月日: 昭和56年4月9日 / 結論: 棄却
日本専売公社職員に対し公共企業体等労働関係法一七条一項の規定を適用することは、憲法二八条に違反しない。 (補足意見がある。)
事件番号: 昭和57(行ツ)131 / 裁判年月日: 昭和63年12月9日 / 結論: 棄却
地方公営企業労働関係法附則四項により地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される同法一一条一項は、憲法二八条に違反しない。
事件番号: 昭和38(オ)1098 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: その他
一、公共企業体等労働関係法第一八条の法意は、同法第一七条違反の行為をした職員について、法の定める職員の身分保障に関する規定にかかわらず、解雇することができるとするにあり、解雇するかどうか、その他どのような措置をとるかについては、職員のした違反行為の態様・程度に応じ、公共企業体等の合理的な裁量に委ねる趣旨と解するのが相当…
事件番号: 昭和43(オ)932 / 裁判年月日: 昭和48年12月12日 / 結論: 破棄差戻
一、憲法一四条や一九条の規定は、直接私人相互間の関係に適用されるものではない。 二、企業者が特定の思想、信条を有する労働者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない。 三、労働基準法三条は、労働者の雇入れそのものを制約する規定ではない。 四、労働者を雇い入れようとする企業者が、その…