地方公務員法二八条四項、一六条二号は、憲法一三条、一四条一項に違反しない。
地方公務員法二八条四項、一六条二号と憲法一三条、一四条一項
地方公務員法28条4項,地方公務員法16条2号,憲法13条,憲法14条1項
判旨
地方公務員法28条4項及び16条2号が定める当然失職の制度は、公務に対する住民の信頼確保を目的としており、地位の特殊性等に照らして憲法14条1項及び13条に違反しない。また、失職の効果は判決確定により当然に発生し、事前の刑事手続で防御の機会が与えられているため、憲法31条にも違反しない。
問題の所在(論点)
地公法28条4項・16条2号の規定による当然失職制度が、憲法14条1項(法の下の平等)、13条(個人の尊重)、および31条(適正手続)に違反するか。
規範
1. 憲法14条1項・13条適合性:公務員は全体の奉仕者であり(憲法15条2項)、職の信用を傷つけてはならない義務を負うという地位の特殊性や職務の公共性に鑑み、禁錮以上の刑に処せられた者を公務から排除して住民の信頼を確保する目的には合理性がある。この取扱いの差異は、私企業労働者との比較や、自治体の条例による差異を含め、不合理な差別とはいえない。 2. 憲法31条適合性:失職の効果は、禁錮以上の刑に処せられたことにより法律上当然に発生するものであり、任命権者の行政処分によって発生するものではない。また、前提となる刑事手続において厳格な防御の機会が与えられている以上、別途の適正手続保障は不要である。
重要事実
地方公務員である上告人が、刑事事件において禁錮以上の刑に処せられた。これにより、地方公務員法(地公法)28条4項及び16条2号(欠格条項)に基づき、法律上当然にその職を失うこと(当然失職)となった。上告人は、これらの規定が法の下の平等(憲法14条1項)や適正手続(31条)等に違反し、無効であると主張して争った。
あてはめ
1. 公務員は「全体の奉仕者」として公共の利益に勤務する義務があり、禁錮以上の刑に処せられた者が在職し続けることは公務への信頼を損なうおそれがある。刑事裁判制度に対する社会的感覚に照らせば、当該規定の目的には合理的な根拠があり、地位の特殊性から私企業労働者と異なる扱いをすることも許容される。 2. 条例による差異も地方自治の尊重に基づくものであり不合理ではない。 3. 当然失職は刑の確定という客観的事実に基づき機械的に生じる効果であり、行政処分ではないため行政上の告知・聴聞の手続は必要ない。かつ、刑事訴訟において既に防御の機会が尽くされているため、憲法31条の保障に欠けるところはない。
結論
地公法28条4項、16条2号は、憲法13条、14条1項、31条のいずれにも違反しない。上告人の失職は正当である。
実務上の射程
公務員の身分喪失に関する「特別の法的関係」における人権制限の合理性を肯定する判例。特に行政手続法等が適用されない当然失職事由において、刑事手続による防御の代替性を認める論理は、適正手続の要否を論ずる際の有力な根拠となる。
事件番号: 昭和53(オ)414 / 裁判年月日: 昭和56年4月9日 / 結論: 棄却
(省略) (補足意見がある。)
事件番号: 平成20(受)1590 / 裁判年月日: 平成22年10月14日 / 結論: 破棄差戻
法人であるYから定年規程所定の65歳の定年により職を解く旨の辞令を受けた職員であるXが,Yとの間でXの定年を80歳とする旨の合意があったと主張して,Yに対し雇用契約上の地位確認及び賃金等の支払を求める訴訟において,次の(1),(2)のような訴訟の経過の下では,控訴審が,X,Yともに主張していない法律構成である信義則違反…
事件番号: 昭和43(オ)932 / 裁判年月日: 昭和48年12月12日 / 結論: 破棄差戻
一、憲法一四条や一九条の規定は、直接私人相互間の関係に適用されるものではない。 二、企業者が特定の思想、信条を有する労働者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない。 三、労働基準法三条は、労働者の雇入れそのものを制約する規定ではない。 四、労働者を雇い入れようとする企業者が、その…