不当労働行為にあたる解雇は無効である。
不当労働行為にあたる解雇の効力
労働組合法7条1号
判旨
労働組合法7条1号に違反する不当労働行為としての解雇は、憲法28条が保障する団結権等を侵害するものであるため、私法上当然に無効となる。
問題の所在(論点)
労働組合法7条1号に違反する不当労働行為としての解雇について、行政上の救済制度が存することを理由に私法上の効力を認めることができるか。不当労働行為の私法上の効力が問題となる。
規範
労働組合法7条の不当労働行為禁止規定は、憲法28条の団結権・団体行動権を保障するための規定である。したがって、同規定に違反する法律行為は、労働委員会による行政上の救済制度の有無にかかわらず、私法上当然に無効と解すべきである。
重要事実
上告人(使用者)は、被上告人(労働者)に対して解雇を行ったが、原審において当該解雇が労働組合法7条1号に該当する不当労働行為であると認定された。これに対し上告人は、現行の労働組合法には労働委員会による救済命令制度があり、違反行為が直ちに刑罰の対象とならないことから、不当労働行為にあたる解雇であっても私法上の効力は否定されない(有効である)と主張して上告した。
事件番号: 昭和43(オ)499 / 裁判年月日: 昭和50年4月25日 / 結論: 破棄差戻
労働組合から除名された労働者に対し使用者がユニオン・ショップ協定に基づく労働組合に対する義務の履行として行う解雇は、右除名が無効な場合には、他に解雇の合理性を裏づける特段の事由がないかぎり、無効である。
あてはめ
現行労働組合法は、旧法と異なり不当労働行為に対して直ちに罰則を科さず、労働委員会による原状回復命令という行政上の救済手続を設けている。しかし、不当労働行為禁止の根拠は憲法28条に由来し、労働者の基本権を保障する点にある。このような憲法上の要請に基づく公序に反する行為は、救済制度の形式いかんにかかわらず、法的に容認されるべきではない。したがって、不当労働行為に該当する本件解雇は、労働組合法7条の趣旨に照らし、当然に無効と評価される。
結論
本件解雇は不当労働行為を構成するため、私法上無効である。よって、上告を棄却する。
実務上の射程
不当労働行為の私法上の効力が「当然無効」であることを明示したリーディングケースである。答案上は、不当労働行為該当性が認められる場合、本判例を根拠に、公序良俗違反(民法90条)等の構成を介さずとも労働組合法7条違反を直接の根拠として解雇を無効と論じることができる。
事件番号: 昭和35(オ)942 / 裁判年月日: 昭和36年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】雇用契約の合意解約について、当時の社会情勢(レッドパージ等)があったとしても、意思表示の任意性が否定されず、公序良俗違反や虚偽表示、強迫にも該当しない場合には、当該合意解約は有効である。 第1 事案の概要:上告人は、共産党員またはその同調者であることを理由に一方的な解雇(レッドパージ)を受けた旨を…
事件番号: 昭和44(オ)204 / 裁判年月日: 昭和45年7月28日 / 結論: 棄却
会社が、企業運営の刷新を図るため従業員に対し職場諸規則の厳守、信賞必罰の趣旨を強調していた時期に、従業員が、午後一一時二〇分頃他人の居宅に故なく入り込み、住居侵入罪として処罰されたとしても、右行為が会社の業務等に関係のない私生活の範囲内で行なわれたものであり、その受けた刑罰は罰金二五〇〇円の程度にとどまり、会社における…
事件番号: 昭和38(オ)1098 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: その他
一、公共企業体等労働関係法第一八条の法意は、同法第一七条違反の行為をした職員について、法の定める職員の身分保障に関する規定にかかわらず、解雇することができるとするにあり、解雇するかどうか、その他どのような措置をとるかについては、職員のした違反行為の態様・程度に応じ、公共企業体等の合理的な裁量に委ねる趣旨と解するのが相当…
事件番号: 昭和36(オ)1226 / 裁判年月日: 昭和38年6月21日 / 結論: 棄却
従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の就業規則条項は、労働基準法第七条の規定の趣旨に反し無効であると解すべきである。