都市公園法附則四項及び七項に基づく損失補償は、従前の使用許可による権利の喪失と同時履行の関係に立つものではなく、右補償がされなくとも右権利喪失の効果は生じると解すべきである。
都市公園法附則四項及び七項に基づく損失補償と従前の使用許可による権利の喪失との関係
憲法29条3項,民法533条,都市公園法12条2項,都市公園法12条3項,都市公園法附則4項,都市公園法附則7項,都市公園法附則8項
判旨
都市公園法附則に基づく権利の消滅に伴う損失補償は、権利喪失の効果と同時履行の関係に立つものではなく、補償の有無にかかわらず権利は消滅する。この解釈は憲法29条3項に違反しない。
問題の所在(論点)
都市公園法附則4項及び7項に基づく土地使用権の消滅と、同法12条2項・3項を準用する損失補償の支払いは同時履行の関係に立つか。また、補償が先行しない権利消滅を認めることが憲法29条3項に違反しないか。
規範
憲法29条3項の「正当な補償」は、権利の消滅と引換えに事前に支払われること(同時履行関係)までを常に要求するものではない。法律に特別の定めがない限り、損失補償の履行がなされない場合であっても、公用制限や権利消滅の効力は発生し、補償義務は後日履行されることで足りる。
重要事実
上告人らは、本件土地について都市公園法に基づく使用許可関係により土地使用権を有していた。しかし、同法所定の期間更新許可の出願を行わなかったため、同法附則の規定により使用権が消滅した。上告人らは、同法附則7項に基づく損失補償がなされない限り、権利喪失の効果は生じない(同時履行の関係にある)と主張して争った。
事件番号: 昭和58(オ)513 / 裁判年月日: 昭和59年10月8日 / 結論: 破棄差戻
地上権者が地上権の目的土地を第三者に賃貸したのちに地上権設定者と地上権者とが合意で地上権設定契約を解除した場合、地上権設定者は、原則として、右第三者(賃借人)に対し、右合意解除により地上権者と賃借人との間の賃貸借契約が終了したと主張することはできないが、地上権設定者が、地上権者の債務不履行を理由として民法二六六条一項、…
あてはめ
都市公園法12条2項及び3項は、損失補償の時期と権利消滅の時期の関係について何ら特別の定めを置いていない。そのため、同法附則に基づく損失補償がなされることが権利消滅の要件であると解すべき根拠はない。また、最高裁大法廷判例の趣旨に照らせば、補償が権利喪失の効果発生より後になされても憲法29条3項に違反するものではない。本件においても、更新許可申請を欠くことで生じた使用権の消滅という効果は、補償の有無にかかわらず発生しているといえる。
結論
本件土地使用権は、損失補償の履行の有無にかかわらず、更新許可申請を怠ったことによって消滅したと解される。したがって、上告人らの請求は認められない。
実務上の射程
土地収用のような「事前補償」が明文で要求される例外的な場合を除き、行政上の規制や権利消滅に伴う補償と効力発生の前後関係についての一般原則を示す。行政法における損失補償の「時期」の問題として、憲法29条3項の論証に組み合わせて引用すべき判例である。
事件番号: 昭和44(オ)915 / 裁判年月日: 昭和44年11月13日 / 結論: 棄却
借地法の適用のある土地賃貸借の期間が、事実審の口頭弁論終結後約六年後に満了する場合において、貸主がその期間満了による賃貸土地の返還を求める将来の給付請求は、その請求の基礎となる権利関係を確定することができない請求権を訴訟物とするものであつて、不適法である。
事件番号: 昭和44(オ)628 / 裁判年月日: 昭和49年2月5日 / 結論: 破棄差戻
都有行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向つて取り消されたときは、使用権者は、特別の事情のないかぎり、右取消による土地使用権喪失についての補償を求めることはできない。
事件番号: 昭和31(オ)755 / 裁判年月日: 昭和32年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利濫用の抗弁は、その前提となる権利(賃借権等)の取得が認められない場合には、判断の対象とならない。また、控訴審で主張していない事実を前提とした判断遺脱の主張は、上告理由として認められない。 第1 事案の概要:上告人は、本件土地について賃借権を取得したと主張し、その上で権利濫用の抗弁を提出した。し…
事件番号: 昭和39(オ)24 / 裁判年月日: 昭和40年2月12日 / 結論: 棄却
土地賃貸人において、転借人に対し後日直接賃貸借契約をしてよい意向を示し、それまでの間は転借について暗黙の承諾をしたと見られるような態度をとり、転借人としては、賃貸人の指図に従い、同人の転貸人に対する賃貸借消滅による建物収去土地明渡請求訴訟に協力する態度をとり、賃貸人が勝訴すれば自ら賃借できると考え、同人から明渡を請求さ…