一 リース会社に対し会計機を売却した者が、リース契約によりリース会社から右会計機を借り受けた者に対し、直接その性能を保証し、保証した性能を欠くときは借主の受ける損害を賠償する旨の損害担保契約を結んだ場合において、右会計機が保証された性能を欠くため借主の業務に適合せず、そのため借主が売主にその引取方を要求して使用を中止したなど原判示の事実関係があるときは、売主が借主に対して賠償すべきリース料相当の損害から損益相殺すべき借主の利益の額は、借主が右会計機の使用を中止するまでの間であつて、売主の協力を得て利用できた期間のリース料相当額によつて算出するのが相当である。 二 リース会社に対し会計機を売却した者が、リース契約によりリース会社から右会計機を借り受けた者に対し、直接その性能を保証し、保証した性能を欠くときは借主の受ける損害を賠償する旨の損害担保契約を結んだ場合において、右会計機が借主の手元で水害にあい使用不能となつても、右会計機が保証された性能を欠くため借主の業務に適合せず、そのため右の水害前すでに借主から売主にその引取方を要求していたなど原判示の事実関係のもとでは、右会計機の使用不能の事実は売主が借主に賠償すべき損害の算定に当たり考慮すべきでなく、右水害による損失は売主において負担すべきである。
一 リース物件の売主がリース会社からの借主に対し性能不良を理由として賠償すべき額を算定するに当たり損益相殺すべき借主の利益の額につき判示した事例 二 リース物件の性能不良のため借主がリース会社に対する売主にその引取方を要求したのちに右リース物件が水害により使用不能となつた場合についてその損失を売主において負担すべきものとした事例
民法416条,民法540条,民法545条1項,民法548条,民法559条,民法566条,民法570条
判旨
損害担保契約に基づく損害賠償額の算定において、目的物が損害発生後に不可抗力により滅失したとしても、その事実は賠償額の算定に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
損害賠償額の算定において、損害発生後に生じた不可抗力による目的物の滅失や毀損を、賠償額から控除したり算定の基礎から除外したりすることができるか。
規範
損害賠償の対象となる損害額の算定は、原則として損害が発生した時点を基準とする。その後に生じた不可抗力による目的物の滅失や価値喪失といった偶然の事情は、既に確定した損害賠償債務の範囲や額を左右するものではない。
重要事実
被上告人は、上告人との損害担保契約に基づき、会計機のリース料相当額の損害賠償を請求した。当該会計機は、被上告人が上告人に引き取りを要求して使用を中止した後、水害によって使用不能(価値喪失)となった。上告人は、この水害による価値喪失を賠償額の算定において考慮すべき(控除すべき)であると主張して争った。
あてはめ
本件では、被上告人が会計機の使用を中止し、上告人に対して損害担保契約に基づく賠償請求権が具体化した後に、不可抗力である水害が発生している。この水害による価値喪失は、賠償義務を負う上告人の負担に帰すべきものであり、被上告人が得た「利益」とは評価できない。したがって、既に使用中止までの期間に得た利益(リース料相当額)を控除した残額については、その後の事故によって減額されることはないといえる。
結論
会計機が水害により使用不能となった事実は賠償額の算定に当たり考慮すべきではなく、上告人は水害による価値喪失分を含めた損害を負担すべきである。
実務上の射程
損害賠償額算定の基準時(原則として損害発生時)を維持する判例である。不法行為や債務不履行による損害賠償全般において、履行遅滞中や損害確定後の後発的事由が賠償額を減額させないという法理を補強する材料として利用できる。答案上は、中間利息控除や損益相殺の議論と並び、後発的事由の不考慮を論じる際に参照すべきである。
事件番号: 昭和55(オ)1061 / 裁判年月日: 昭和57年10月19日 / 結論: 破棄差戻
一 いわゆるファイナンス・リース契約において、リース業者がリース期間の途中でリース物件の返還を受けた場合には、その原因が利用者の債務不履行にあるときでも、リース業者は、特段の事情のない限り、右返還によつて取得した利益を清算する必要がある。 二 いわゆるファイナンス・リース契約において、リース期間の途中でリース物件の返還…