私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律九七条により東京高等裁判所のした過料の決定につき即時抗告が許されないものと解しても、憲法三一条に違反するものではない。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律九七条により東京高等裁判所のした過料の決定に対して即時抗告を認めないことと憲法三一条
憲法31条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律97条
判旨
下級裁判所の決定に対し最高裁判所への抗告を許すか否かは、憲法81条が定める場合を除き、原則として立法政策に委ねられており、過料決定に即時抗告を認めないことも憲法31条、32条、82条に違反しない。
問題の所在(論点)
過料決定に対して即時抗告(不服申立て)を認めない法的仕組みは、憲法31条、32条、82条等の諸規定に違反し、審級保障の観点から許されないか。
規範
下級裁判所の決定に対し最高裁判所への抗告の申立てを許すか否かは審級制度の問題であり、憲法81条(法令審査権)の場合を除いて、これをすべて立法政策に委ねているものと解すべきである。したがって、不服申立ての機会が制限されているとしても、直ちに正当な法的手続(31条)や裁判を受ける権利(32条)を侵害するものではない。
重要事実
独占禁止法97条および86条の規定に基づき、東京高等裁判所が抗告人に対して過料の決定を行った。抗告人は、当該過料決定に対して即時抗告を認めないことは、適正手続(憲法31条)、裁判を受ける権利(32条)、および裁判の公開(82条)に違反するとして特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和51(行ト)18 / 裁判年月日: 昭和52年4月13日 / 結論: 棄却
公正取引委員会が、勧告審決に基づく価格協定排除措置として、違反者に対し、協定内容を掲げたうえ、「………を決定し実施しましたが、当社らの行つたこの行為が独占禁止法に違反するとの公正取引委員会の審決がありましたので、この審決に従い、この決定を破棄しました。」との文案による新聞広告の掲載を指示したことは、必ずしも違反者に違反…
あてはめ
最高裁は、審級の構成は立法府の裁量に属するという確立した判例(大法廷判決等)を引用した。本件における過料決定について、違憲を理由とする場合(特別抗告)を除き、通常の抗告を認めない制度設計がなされていたとしても、それは国会の立法政策の範囲内である。また、裁判の公開(82条)についても、過料の手続において直ちに常に即時抗告を認めなければならないという趣旨を同条が含んでいるわけではないと解される。
結論
過料決定に対し即時抗告を認めないことは憲法に違反しない。本件抗告は棄却されるべきである。
実務上の射程
司法試験においては、審級保障の有無が問われる際の基本判例として活用できる。憲法上の権利として『三審制』そのものが保障されているわけではなく、不服申立権の有無は立法政策の妥当性の問題に帰着するという論理を展開する際に引用すべきである。
事件番号: 昭和40(ク)271 / 裁判年月日: 昭和40年9月3日 / 結論: 却下
民訴法第四一五条は、憲法第三二条に違反しない。(昭和二三年(ク)第一三号、同二四年七月二二日大法廷決定、民集三巻八号二八一頁の趣旨による)
事件番号: 昭和34(ク)151 / 裁判年月日: 昭和34年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判を受ける権利を保障するが、具体的な裁判所の権限や審級等の制度設計は立法府の裁量に委ねられており、最高裁判所への抗告が法律で制限されていても憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所に対する抗告を制限する法運用は、裁判所法7条2号を空文化させ、憲法32条(裁判を受ける…
事件番号: 昭和37(ク)64 / 裁判年月日: 昭和41年12月27日 / 結論: 棄却
一 非訟事件手続法による過料の裁判は、憲法第三一条、第三二条、第八二条に違反しない。 二 前項の裁判に対する不服申立についての裁判は、公開・対審の手続によらなくても、憲法第三二条、第八二条に違反しない。