一 非訟事件手続法による過料の裁判は、憲法第三一条、第三二条、第八二条に違反しない。 二 前項の裁判に対する不服申立についての裁判は、公開・対審の手続によらなくても、憲法第三二条、第八二条に違反しない。
一 非訟事件手続法による過料の裁判の合憲性 二 前項の裁判に対する不服申立についての裁判の合憲性
非訟事件手続法207条,非訟事件手続法208条ノ2,憲法31条,憲法32条,憲法82条
判旨
秩序罰としての過料は国家の後見的民事監督作用であり、実質的に行政処分の性質を有する非訟事件である。そのため、公開の対審(憲法82条、32条)は不要であり、非訟事件手続法による手続も憲法31条に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 秩序罰としての過料を科す手続に、憲法82条(裁判の公開)・32条(裁判を受ける権利)が保障する公開対審の原則が適用されるか。 2. 非訟事件手続法に基づく過料の裁判手続は、憲法31条の適正手続の要請に違反するか。
規範
1. 民事上の秩序罰としての過料を科する作用は、国家の後見的民事監督作用であり、その実質は一種の行政処分としての性質を有する。したがって、憲法82条・32条が規定する「公開の法廷における対審および判決」による必要はない。 2. 過料の手続は、当事者の陳述権(弁解の機会)や異議申立て、即時抗告、執行停止等の適正な手続的保障が備わっている限り、憲法31条の適正手続の要請に反しない。
重要事実
法人の理事が、民法(当時の規定)46条に基づく登記事項の変更登記を怠った。これに対し、民法84条1号(当時)に基づき、秩序罰として過料が科された。抗告人は、過料を科する手続およびその不服申立手続において、公開の対審や弁護人の援助などが保障されていない非訟事件手続法等の規定は、憲法31条、32条、82条に違反すると主張して特別抗告を行った。
事件番号: 昭和46(ク)349 / 裁判年月日: 昭和48年1月26日 / 結論: 棄却
非訟事件手続法による緊急命令違反を理由とする過料の裁判は、憲法三一条、三二条に違反しない。
あてはめ
1. 憲法82条等が公開対審を要求するのは純然たる訴訟事件であるが、過料は法人の組織に関する公示を励行させ私法秩序の安定を図る行政的監督作用であり、非訟事件性を有する。ゆえに、不服申立(即時抗告)手続も一連の非訟事件として非公開で行うことが許容される。 2. 非訟事件手続法は、原則として事前の陳述聴取を義務付け(207条2項)、告知・弁解・防御の機会を付与している。また、理由付決定による裁判、不服申立としての即時抗告、その執行停止効(207条1項・3項)等の十分な配慮がなされている。したがって、法律の定める適正な手続といえる。
結論
秩序罰としての過料の手続に公開対審の原則は適用されず、非訟事件手続法による裁判は憲法31条、32条、82条に違反しない。
実務上の射程
行政罰(秩序罰)に関する合憲性のリーディングケースである。「行政処分」的性質を理由に、非訟事件における公開・対審の不要性を肯定する。司法試験においては、非訟事件と訴訟事件の区別、および憲法31条の行政手続への準用・射程を論じる際の基礎となる。
事件番号: 昭和24(ク)50 / 裁判年月日: 昭和24年9月29日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所の権限に属するものと定めた場合に限り許され、憲法違反を理由とする特別抗告等の要件を満たさないものは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、何らかの裁判(詳細は判決文からは不明)に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、当該抗告の申立書の内容か…
事件番号: 令和6(許)31 / 裁判年月日: 令和7年3月3日 / 結論: 棄却
民法709条の不法行為を構成する行為は、宗教法人法81条1項1号にいう「法令に違反」する行為に当たる。
事件番号: 平成17(ク)626 / 裁判年月日: 平成17年11月18日 / 結論: 却下
訴訟の当事者は,民訴法209条1項に規定する過料の裁判を求める申立権を有しない。
事件番号: 昭和51(行ト)11 / 裁判年月日: 昭和52年4月13日 / 結論: 棄却
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律九七条により東京高等裁判所のした過料の決定につき即時抗告が許されないものと解しても、憲法三一条に違反するものではない。