非訟事件手続法による緊急命令違反を理由とする過料の裁判は、憲法三一条、三二条に違反しない。
非訟事件手続法による緊急命令違反を理由とする裁判の合憲性
憲法31条,憲法32条,非訟事件手続法207条,労働組合法27条,労働組合法32条
判旨
労働組合法32条に基づく緊急命令違反への過料を非訟事件手続法により科すことは憲法31条、32条に違反せず、その命令内容が他目的の手段として確定可能であれば罪刑法定主義にも反しない。
問題の所在(論点)
1. 緊急命令違反に対する過料を非訟事件手続法に基づき科すことは、憲法31条(適正手続)および32条(裁判を受ける権利)に違反するか。 2. 緊急命令で命じられた訓練内容が不明確である場合、憲法31条(罪刑法定主義・明確性の原則)に違反するか。
規範
緊急命令違反に対する過料の裁判手続を非訟事件手続法および同法の定める即時抗告の手続によらしめることは、憲法31条、32条の定める適正手続および裁判を受ける権利に違反しない。また、命令の内容が特定の目的(労働者の実質的な原職復帰等)を達成するための手段として客観的に確定しうるものであるならば、明確性の原則(憲法31条)に照らしても正当である。
重要事実
使用者が、労働委員会による緊急命令(労働組合法27条の20等)に従わず、技術回復のための訓練を命じられた。抗告人は、当該訓練内容の指示が不明確であり、かつ非訟事件手続法による過料の賦課は刑事手続に準ずる慎重な手続を欠くため、憲法31条、32条に違反すると主張して特別抗告を行った。
事件番号: 昭和28(ク)231 / 裁判年月日: 昭和28年12月28日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、法律に特別の定めがある場合に限り認められ、民事事件においては憲法違反の判断の不当を理由とする場合に限定される。また、緊急命令違反による過料の裁判において、前提となる労働委員会の命令の当否は直接の判断対象とならない。 第1 事案の概要:地方労働委員会の不当労働行為救済事件に…
あてはめ
1. 手続面について、過料は行政上の秩序罰であり、刑事罰とは性質を異にする。非訟事件手続法による裁判および即時抗告の手続による不服申立ての機会が保障されている以上、大法廷判例の趣旨に照らし、憲法31条・32条には違反しない。 2. 内容の明確性について、本件緊急命令が技術回復訓練を命じたのは、単なる訓練自体が目的ではなく、労働者を実質的に原職復帰させるための手段である。この目的から逆算すれば、訓練の具体的内容は自ずから確定可能である。したがって、内容が不明確であるとして罪刑法定主義に反するとの主張は当たらない。
結論
本件緊急命令違反に対する過料の手続および命令内容は憲法31条、32条に違反しない。本件抗告を棄却する。
実務上の射程
行政罰(過料)における手続的保障の限界を示す判例である。憲法31条が刑事手続以外(行政手続・非訟手続)にどの程度及ぶかという論点において、刑事手続と同一の慎重さを要しないとする根拠として利用できる。また、法規の明確性が争点となる場面では、個別条項の文言のみならず、その制度的目的から内容が確定可能であれば足りるという判断枠組みの参考になる。
事件番号: 昭和45(行ト)19 / 裁判年月日: 昭和47年12月26日 / 結論: 棄却
非訟事件手続法による緊急命令違反に対する過料の裁判は、憲法三一条、三二条に違反しない。
事件番号: 昭和37(ク)64 / 裁判年月日: 昭和41年12月27日 / 結論: 棄却
一 非訟事件手続法による過料の裁判は、憲法第三一条、第三二条、第八二条に違反しない。 二 前項の裁判に対する不服申立についての裁判は、公開・対審の手続によらなくても、憲法第三二条、第八二条に違反しない。
事件番号: 昭和58(ク)149 / 裁判年月日: 昭和58年7月7日 / 結論: 棄却
民事執行法一一条の執行異議申立棄却の決定に対し即時抗告による不服申立の方法を認めるかどうかは、立法政策の問題に帰着し、同法一〇条一項、一二条一項が憲法三二条に違反するかどうかの問題を生じない。
事件番号: 昭和41(ク)444 / 裁判年月日: 昭和42年2月3日 / 結論: 棄却
民訴法第四一九条ノ二第一項は憲法第三二条に違反しない。