判旨
最高裁判所に対する抗告は、法律に特別の定めがある場合に限り認められ、民事事件においては憲法違反の判断の不当を理由とする場合に限定される。また、緊急命令違反による過料の裁判において、前提となる労働委員会の命令の当否は直接の判断対象とならない。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する抗告が適法となるための要件、および緊急命令違反による過料の制裁において前提となる労働委員会の命令の当否を争うことの可否。
規範
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られる。民事事件における最高裁判所への抗告(特別抗告)は、原決定における憲法解釈の誤り等の違憲を理由とする場合に限定され(旧民訴法419条の2)、単なる法令違反や事実誤認を理由とすることはできない。
重要事実
地方労働委員会の不当労働行為救済事件に基づき、裁判所が緊急命令(労働組合法27条7項)を発した。抗告人はこれに違反したとして過料の制裁(同法32条前段)を科されたため、労働委員会の命令には誤判の疑いがあり、事実無根の申出によって緊急命令や過料が科されたことは不当であるとして、違憲を主張して最高裁判所に抗告を申し立てた。
あてはめ
抗告人は形式的に違憲を主張するが、その実質は労働委員会の命令に誤判があることや、それに基づく緊急命令・過料の制裁の違法を攻撃するに過ぎない。緊急命令違反があった場合に裁判所が過料を科すことは法文上明らかであり、原決定に憲法違反の判断は存在しない。また、前提となる委員会の命令が誤判であるか否かは、緊急命令違反事件の成否に直接関係しないため、抗告理由として不適法である。
結論
本件抗告は、実質的に憲法違反を理由とするものとは認められず、不適法であるため却下される。
実務上の射程
事件番号: 昭和46(ク)349 / 裁判年月日: 昭和48年1月26日 / 結論: 棄却
非訟事件手続法による緊急命令違反を理由とする過料の裁判は、憲法三一条、三二条に違反しない。
特別抗告の理由が憲法問題に限定されることを確認する実務上重要な指針である。答案作成においては、単なる事実誤認や法律違背を「憲法違反」と称して主張しても、特別抗告の適法な理由とはならないことを論証する際に参照すべきである。また、緊急命令違反の制裁手続と本案の救済命令の当否は別個の論理であることを示唆している。
事件番号: 昭和28(ク)39 / 裁判年月日: 昭和28年3月9日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定に憲法判断の不当がある場合に限られ、それ以外の理由による抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人らが、最高裁判所に対して民事事件の抗告を申し立てた事案である。しかし、当該抗告の理由は、原決定における憲法適合性の判断を争うも…
事件番号: 昭和28(ク)236 / 裁判年月日: 昭和28年12月1日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、その理由は憲法判断の不当をいうもの(特別抗告)に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して民事事件の決定に対する抗告を申し立てた事案。抗告人は、旧民訴法413条(許可抗告等に関連する規定)が適…
事件番号: 昭和28(ク)276 / 裁判年月日: 昭和28年12月10日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法第419条の2(現行第336条)に定められた憲法解釈の誤り等を理由とする特別抗告に限定され、民訴法第413条(現行第330条)の再抗告の規定は適用されない。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案である。しかし、その抗告理由は、原決定…
事件番号: 昭和25(ク)148 / 裁判年月日: 昭和25年12月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その抗告理由は憲法適合性に関する判断の不当をいうものに限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、下級審の決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた事案である。しかし、当該抗告理由の内容は、原決定における憲法適合…