訴訟の当事者は,民訴法209条1項に規定する過料の裁判を求める申立権を有しない。
訴訟の当事者が民訴法209条1項の過料の裁判を求める申立権の有無
民訴法209条1項
判旨
民事訴訟法209条1項に基づく過料の裁判は裁判所が職権で行うものであり、当事者に申立権がないため、過料に処さない決定に対し当事者は不服申し立てをすることができない。
問題の所在(論点)
民事訴訟法209条1項に基づく過料の裁判において、訴訟当事者に申立権が認められるか。また、過料に処さない旨の決定に対し、当事者が不服申し立て(抗告)をすることが許されるか。
規範
民事訴訟法209条1項(虚偽の陳述に対する過料)に規定する過料の裁判は、裁判所が職権によって行うべきものである。訴訟の当事者は当該裁判を求める申立権を有さず、その申立ては裁判所に職権の発動を促す効果を有するにすぎない。したがって、裁判所が過料に処さない決定をしたとしても、当事者はこれに対して不服を申し立てる適格を有しない。
重要事実
抗告人は、自身と被審人が代表者を務める会社との間の民事訴訟において、被審人が宣誓の上で虚偽の陳述をしたと主張した。抗告人は、民訴法209条1項に基づき被審人を過料に処するよう求める申立てを行ったが、原裁判所は被審人を処罰しない旨の決定をした。これに対し、抗告人が不服を申し立てたのが本件である。
事件番号: 平成16(許)20 / 裁判年月日: 平成16年12月16日 / 結論: 破棄自判
1 非訟事件手続法19条1項所定の非訟事件の裁判を取り消す裁判に対しては,即時抗告をすることはできず,通常抗告をすることができる。 2 過料の確定裁判の存在を看過して同一事由について非訟事件手続法208条ノ2に規定する過料の裁判をした場合には,同裁判を行った裁判所は,職権により確定後の同裁判を取り消すことができる。
あてはめ
民訴法209条1項の過料は、法廷の秩序維持や証拠調べの厳正を期すための制裁的措置であり、裁判所の職権行使に委ねられている。本件において、抗告人が行った過料の申立ては、法的な申立権に基づくものではなく、単に裁判所の職権発動を促す「上申」の性質にとどまる。そのため、裁判所が職権を発動せず被審人を処罰しない決定をしたとしても、抗告人の法的権利が侵害されたとはいえず、抗告人には不服申し立てを行う適格が認められない。
結論
抗告人の不服申し立ては不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
裁判所の職権事項とされる制裁的過料全般(証言拒絶や文書提出命令違反等)についても、本判例と同様、当事者に申立権や不服申立権がないと解する際の論拠となる。答案上は、職権事項と当事者の申立権を峻別する文脈で使用する。
事件番号: 昭和37(ク)64 / 裁判年月日: 昭和41年12月27日 / 結論: 棄却
一 非訟事件手続法による過料の裁判は、憲法第三一条、第三二条、第八二条に違反しない。 二 前項の裁判に対する不服申立についての裁判は、公開・対審の手続によらなくても、憲法第三二条、第八二条に違反しない。
事件番号: 平成19(行フ)6 / 裁判年月日: 平成20年3月6日 / 結論: 棄却
商品の原産国について不当な表示を行った者が,公正取引委員会から,一般消費者の誤認を排除するための措置として,上記表示が事実と異なるものであり,一般消費者に誤認される表示である旨を速やかに公示すること等を命じる旨の審決を受けたにもかかわらず,その履行をけ怠していた場合において,上記の者が同審決を受ける約2年半前に上記表示…
事件番号: 昭和28(し)21 / 裁判年月日: 昭和28年7月16日 / 結論: 棄却
原審の判示するところは、単に、被告人から控訴した事件において、一審の弁護人であつた梅山実明、同伊藤静男から控訴趣意書と題する書面が提出されたけれども、右弁護人等の原審における選任届は控訴趣意書提出最終日を経過した後に提出されたため、右控訴趣意書は結局無権限のものによつて提出された無効のものであり且つ後に提出された弁護人…
事件番号: 昭和33(し)73 / 裁判年月日: 昭和33年11月20日 / 結論: 棄却
佐賀地裁伊万里支部が本件再審請求はその法令上の方式に違反するという理由で刑訴四四六条により再審請求を棄却する旨の決定をしたこと、これに対して申立人から即時抗告の申立があつたが原審である福岡高裁は右即時抗告を理由なしとしてこれを棄却する旨の決定をしたこと明らかである。従つて原決定は刑訴四二七条にいう抗告裁判所の決定であつ…