佐賀地裁伊万里支部が本件再審請求はその法令上の方式に違反するという理由で刑訴四四六条により再審請求を棄却する旨の決定をしたこと、これに対して申立人から即時抗告の申立があつたが原審である福岡高裁は右即時抗告を理由なしとしてこれを棄却する旨の決定をしたこと明らかである。従つて原決定は刑訴四二七条にいう抗告裁判所の決定であつて、同四二八条一項の決定ではない。故にこれに対し同条二項の規定に基き異議の申立をすることができる筋合のものではない。されば申立人の本件異議申立が同条項に基くものとすれば不適法であるといわなければならない。
再審請求棄却決定に対する即時抗告を棄却した高等裁判所の決定に対する異議申立の適否。
刑訴法427条,刑訴法428条,刑訴法446条
判旨
刑事訴訟法427条に規定される抗告裁判所の決定に対しては、同法428条2項に基づく異議の申立てをすることはできない。また、当該決定に対しては再抗告も許されず、不服申立ては同法433条の特別抗告に限られる。
問題の所在(論点)
抗告裁判所がした即時抗告を棄却する決定に対し、刑訴法428条2項に基づく「異議の申立て」をすることができるか。また、当該決定に対してどのような不服申立てが認められるか。
規範
刑事訴訟法427条の抗告裁判所による決定は、同法428条1項に規定される決定(高等裁判所がした抗告をすることができる決定)には当たらないため、同条2項に基づく異議の申立てをすることはできない。また、同法427条に基づき、抗告裁判所の決定に対してはさらに抗告をすることは許されず、憲法違反等の特別抗告事由がある場合にのみ、同法433条の特別抗告が許容される。
重要事実
申立人は、再審請求を方式違反として棄却した地方裁判所の決定に対し、福岡高等裁判所に即時抗告を申し立てた。福岡高等裁判所は、この即時抗告を理由なしとして棄却する旨の決定(原決定)をした。これに対し申立人は、刑訴法428条2項に基づき異議の申立てを行うとともに、実質的に不服を申し立てた。
事件番号: 昭和28(し)100 / 裁判年月日: 昭和29年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項及び3項の異議申立てを認める余地はなく、かかる不適法な申立ては特別抗告の対象となり得ない。 第1 事案の概要:申立人は、大分地裁による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高裁から期間経…
あてはめ
本件における原決定は、地方裁判所の決定に対する即時抗告について高等裁判所が判断したものであり、刑訴法427条の「抗告裁判所の決定」に該当する。これは、高等裁判所が第一審として又は控訴審として行った決定等について規定する同法428条1項の決定ではない。したがって、同条2項の異議の申立ては認められない。また、同法427条は抗告裁判所の決定に対し重ねて抗告することを禁じており、特別抗告事由の有無のみが検討の対象となるが、本件申立内容は同法433条所定の事由に当たらない。
結論
本件異議申立ては不適法であり、これを特別抗告とみなしても事由を具備しないため、棄却を免れない。
実務上の射程
抗告に対する裁判(二審)が行われた場合、それに対する不服申立ては、憲法違反や判例相反を理由とする特別抗告のみに限定されるという不服申立て構造の基本を示すものである。答案上は、決定に対する救済手段の検討において、当該決定が「抗告裁判所」としてのものか否かを区別する際に参照する。
事件番号: 昭和28(し)104 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項および3項の異議申立ての規定を適用する余地はなく、当該異議申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、大分地方裁判所による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高等裁判所は即時抗…
事件番号: 昭和49(し)77 / 裁判年月日: 昭和49年9月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告裁判所として下した決定に対しては再抗告が許されないため、刑事訴訟法428条に基づく異議の申立ては認められない。 第1 事案の概要:抗告人が、高等裁判所が抗告裁判所としてした決定に対し、具体的な憲法違反の主張を欠く特別抗告(刑事訴訟法433条)を申し立てた事案。その手続過程において、…
事件番号: 昭和29(し)51 / 裁判年月日: 昭和29年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がなした再審請求棄却の決定に対し、刑事訴訟法428条2項に基づく異議の申立てを経ることなく直接特別抗告を申し立てることは、同法433条により許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、強盗致死被告事件の確定判決(福岡高等裁判所)に対し再審請求を行った。これに対し、福岡高等裁判所が再審請求を…
事件番号: 昭和28(し)18 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法が適用される事件において、高等裁判所の決定に対し最高裁判所へ抗告をすることは、訴訟法において特に認められた場合を除き許されない。 第1 事案の概要:申立人は、東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定を不服として、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。本件は刑訴施行法2条に基づき旧刑事訴訟法…