商品の原産国について不当な表示を行った者が,公正取引委員会から,一般消費者の誤認を排除するための措置として,上記表示が事実と異なるものであり,一般消費者に誤認される表示である旨を速やかに公示すること等を命じる旨の審決を受けたにもかかわらず,その履行をけ怠していた場合において,上記の者が同審決を受ける約2年半前に上記表示を取りやめた上,ウェブサイトや店頭告知で不当な表示をしていた事実を公表し,商品の回収や代金の返還にも応じて,一般消費者の誤認やその結果の排除に努めていたなどの事情に照らせば,上記の者を独禁法97条の定める過料に処さないこととした原審の判断は,結論において是認することができる。
公正取引委員会の排除措置命令に違反した者を独禁法97条の定める過料に処さないこととした原審の判断が是認された事例
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独禁法)97条,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前のもの)54条2項
判旨
独占禁止法97条に基づく排除措置命令違反に対する過料の賦課について、裁判所は違反行為が認められる場合でも、違反の態様や程度等の諸般の事情を考慮し、処罰を必要としないと認めるときは処罰しない旨の決定をすることができる。
問題の所在(論点)
独占禁止法97条(現行法上の排除措置命令違反に対する過料規定)に基づき過料を科すべき事案において、違反事実が認められる場合に、裁判所の裁量によって処罰しないことが許されるか。
規範
独占禁止法97条の趣旨に照らせば、裁判所は排除措置命令に違反する行為が認められる場合には原則として過料に処すべきであるが、違反行為の態様、程度その他諸般の事情を考慮して、処罰を必要としないと認めるときは、処罰しない旨の決定をすることができる。
重要事実
事件番号: 平成16(許)20 / 裁判年月日: 平成16年12月16日 / 結論: 破棄自判
1 非訟事件手続法19条1項所定の非訟事件の裁判を取り消す裁判に対しては,即時抗告をすることはできず,通常抗告をすることができる。 2 過料の確定裁判の存在を看過して同一事由について非訟事件手続法208条ノ2に規定する過料の裁判をした場合には,同裁判を行った裁判所は,職権により確定後の同裁判を取り消すことができる。
相手方は公正取引委員会から、不当表示に係る一般消費者の誤認排除措置(公示等)を命じる審決を受けたが、その履行を懈怠した。一方で、相手方は審決の約2年半前に不当表示を取り止めており、ウェブサイトや店頭での事実公表、商品の回収および代金返還などの自主的な是正措置を講じていた。
あてはめ
相手方は審決の履行を懈怠しており形式的には違反行為が認められる。しかし、審決の相当以前に不当表示を中止していること、自ら公表や回収・返金等の措置を講じて一般消費者の誤認排除に努めていることが認められる。これらの事情は「違反行為の態様、程度その他諸般の事情」として、処罰を必要としないと判断するに足りる事情といえる。
結論
排除措置命令違反が認められる場合であっても、事後的な是正措置等の諸般の事情により、裁判所は裁量によって過料を科さないことができる。
実務上の射程
行政上の秩序罰である過料の賦課における裁判所の裁量権を認めた。司法試験等の行政法ないし経済法の文脈では、義務違反の事実があるからといって直ちに機械的な制裁が導かれるわけではなく、違反の程度や義務履行の必要性といった実質的観点からの裁量判断が介入する余地を示すものとして重要である。
事件番号: 平成17(ク)626 / 裁判年月日: 平成17年11月18日 / 結論: 却下
訴訟の当事者は,民訴法209条1項に規定する過料の裁判を求める申立権を有しない。
事件番号: 令和6(許)31 / 裁判年月日: 令和7年3月3日 / 結論: 棄却
民法709条の不法行為を構成する行為は、宗教法人法81条1項1号にいう「法令に違反」する行為に当たる。
事件番号: 平成17(許)18 / 裁判年月日: 平成17年12月9日 / 結論: 棄却
不作為を目的とする債務の強制執行として間接強制決定をするには,債権者において,債務者がその不作為義務に違反するおそれがあることを立証すれば足り,債務者が現にその不作為義務に違反していることを立証する必要はない。